【佐藤義則氏の眼】見事だった阪神・西勇の両コーナーへの投げ分け
「阪神4-1巨人」(2日、甲子園球場)
糸井の一振りも大きかったが、やはりこの日は阪神・西勇のピッチングに尽きる。フォアボールもなく、持ち味のシュートを生かして丁寧に両コーナーに投げられていたので、崩れる雰囲気が全くなかった。
当然、巨人打線も西のシュートへの意識はあったはずだ。その中でも、右バッターにはシュートを狙っているようなところで外角を使って裏をかいたり、左バッターにはスライダーなどで内角を攻め、そこを意識させた上で外に逃げるシュートを振らせていた。
八回に先頭のウィーラーに一発を浴びたが、そこまでは先頭バッターを一人も出さなかった。これは単にアウトを一つ取ることだけでなく、巨人に策を出させないという意味でも大きい。
点差にもよるが、ノーアウトでランナーが出れば、バントやエンドランなどを絡めた攻撃も考えられる。その中で流れが変わることもあるが、打線としてそういった策を用いる状況にさせなかったところに価値があった。