阪神・岩田稔よ ありがとう 支えてくれた愛する家族と愛した甲子園で最後の晴れ姿

 梅野(手前)目がけて最後の投球をする岩田稔
 引退セレモニーで涙を見せる岩田稔(撮影・田中太一)
 矢野監督(右)にねぎらわれる岩田稔(撮影・山口登)
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 「阪神0-4中日」(26日、甲子園球場)

 高校2年の冬に発症した1型糖尿病と闘いながら、タテジマ一筋で16年間プレーした阪神・岩田稔投手(37)が26日、現役最後の日を迎え、中日戦後に引退セレモニーに臨んだ。

 いつものようにマウンドで一礼し、岩田稔は最後の1球を投じた。梅野とバッテリーを組んだラストピッチ。スタンドの「岩田コール」の中、仲間、家族、ファンへ、16年分の感謝の思いを込めた。

 「僕が勇気をいただいていた。たくさんの応援をしていただいた方には足りないぐらい、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

 試合後の引退セレモニー。スピーチは少しだけ涙で詰まったが、表情は晴れやかだった。1型糖尿病患者からのビデオメッセージ、後輩・藤浪のサプライズ登場、そして胴上げ。最後まで幸せいっぱいの野球人生だ。

 若い頃は藤川の「火の玉ストレート」に憧れた。だが1年目にいきなり洗礼を浴びる。06年10月14日の広島戦。前田智に内角低めの直球を右翼席へ運ばれた。振り返って球速を確認すると144キロ。決して失投ではない。「バットに当たってもファウルになると思ったのに。これがプロか…」。2年目まで未勝利。「球児さんみたいなボールを投げたかったけど、全然無理で。ちゃうなって思って」。ツーシームを磨き、低めにボールを集める。独自のスタイルを確立し、プロの世界を生き抜いた。

 試合前には岩田ファミリーでファーストピッチに挑んだ。長男・輝大君(13)が投手、長女・美來さん(12)が打者、次女・菜心美さん(10)が球審役を務め、捕手を務めた岩田稔はストライクコールにニッコリ。「僕よりいい球、放っていましたね」。病と闘いながらプレーできたのは家族の支えがあったから。妻も加わって、特別な時間をかみしめた。

 「僕自身の体にはお疲れさんと言いたいですね。でもここからなんで」。グラウンドを去る際、岩田稔はもう一度マウンドに立ってバンザイした。悔いはない。明るく前向きに、第二の人生も岩田稔らしく歩んでいく。

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