独占入手!阪神・ドラ1森木の決意「日本を代表する選手になる」
「怪物右腕」は何を思い、どう過ごしてきたのか。阪神にドラフト1位指名された森木大智投手(18)=高知=の野球日誌を28日、独占入手。“初公開”となる日誌からは、プロを目指す上での強い意志が明らかになった。惜しくもかなわなかった甲子園出場の夢、自身やチームと向き合った日々とともに、ひもとく。
運命の日から、さかのぼること約2カ月半。7月28日、夏の高知大会決勝で高知は明徳義塾に惜しくも敗れた。森木は8回0/3を4安打10三振3失点。名将・馬淵史郎監督(65)の策にもはまり、球数は増え、スタミナ切れに追い込まれた。届かなかった甲子園。涙に暮れたこの日、最後の日誌に決意を記した。
「本当に悔しかった。自分が投げ切れていれば、勝てていたかもしれない。この悔しさは野球で晴らすしかない。プロの世界で晴らしたい。良い結果を残したいし、日本を代表する選手にもなりたい。そして分かっていても打たれないストレートをもっとレベルを上げたい」
野球部員が日々の取り組みを記録し、浜口佳久監督(46)に提出している野球日誌。森木のノートは1年生の頃から数えて16冊にわたる。見開きで、左のページにはその日の練習メニューやフィードバック、体重などを記録し、右のページに1日の感想を記してきた。思いを積み重ね、夢が絶たれた日に、目指すべき理想の投手像が明確になった。
偽らざる気持ちも、素直に文字にした。7月22日の同大会初戦・宿毛工戦ではリリーフで5回2/3を無安打無失点と好投し、コールド勝利。ただ、その日の日誌は意外な言葉から始まる。
「やっぱり夏の初戦は恐い。力みとプレッシャーでいつもの野球、チームで勝つということができていなかった」
怪物右腕、高校ビッグ3…。ドラフト1位候補として注目を集めた豪腕も、不安と強気を行き来した。その中でも、原動力になったのは、仲間の存在だ。冒頭の日誌はこう締めくくられている。
「みんなとできて最高だった」-。
中学から6年間森木を指導してきた浜口監督は、右腕の日誌についてこう振り返る。「一切、妥協はしない。良くても、もっと良くなるために『もっとこうしなきゃいけない』とか。そういうのを結構、書いてましたね」。誰よりも強い野球への熱量が、ページをめくる度に伝わってくる。書き込んだ悔しさを胸に、プロ野球選手として新たな人生のページをめくっていく。
◆森木 大智(もりき・だいち)2003年4月17日生まれ、18歳。高知県出身。184センチ、90キロ。右投げ右打ち。投手。小学1年からソフトボール、3年時に高岡第二イーグルス(軟式)で野球を始める。高知中3年時に春夏の全国大会優勝。夏に愛媛・坊っちゃんスタジアムで軟式球ながら150キロを計測。高知高では1年春の四国大会からベンチ入り。3年春に自己最速の154キロを記録。最後の夏は県大会決勝で明徳義塾に敗戦。11日の21年度ドラフトで阪神の1位指名を受ける。