【虎戦士にエール】浜地の夢を後押しした両親の思い 「野球している時が一番幸せそう」

阪神中継ぎ陣の一角を担い、躍動を続ける浜地
 幼少期の浜地と母・智子さん、父・浩充さん(家族提供)
 浜地酒造内に飾られている浜地のユニホーム
3枚

 阪神に縁のある人物が選手にエールを送る「虎戦士にエール」(随時掲載)。今回は中継ぎ陣の一角を担い、躍動を続ける浜地真澄投手(24)の父・浩充さん、母・智子さんが登場する。福岡県福岡市で1870年創業の「浜地酒造」を営んでおり、そこで作られる甘酒を使って息子の夢を後押しした。プロの世界で大好きな野球を続ける右腕へ、エールを送った。

  ◇  ◇

 野球の星の下に生まれた子-。母・智子さんは浜地が白球を追う姿を見てそう感じていた。「野球に触れている時のあの子の幸福感はすごかったです」。口数は少なく、夢も語らない。それでも、野球をする姿を見るだけで、「この子はそっち(野球)で生きていく」と直感した。

 浜地は小学1年から4歳年上の兄・真太郎さんとともに、父・浩充さんが立ち上げ、監督を務める少年野球チームに入団した。父からは礼儀など技術以上に人として大切なことを野球を通して教わった。小学6年ではホークスジュニアに選出された。その頃から浩充さんは、「(プロ野球選手になりたいと)内に秘めている感じが出てきた」と息子が抱く夢に気づいたという。

 夢を応援したい。その一心で智子さんは本で栄養の勉強をするなど食事で成長を支えた。「グリコーゲンローディング」(※1)という食事方法を徹底。「一番いい状態で週末の試合に出してあげたかった」と栄養素を把握して手料理を作り、ベストコンディションで試合に送り出した。

 酒造を営んでいたこともあり、小学校高学年の頃からは毎朝、甘酒を飲ませた。「飲む点滴」とも言われているほど、必須アミノ酸などの栄養素が豊富な一品。現在、「浜地酒造」で販売されている「青汁あまざけ」は、野菜が苦手だった浜地に甘酒と青汁を混ぜたものを飲ませていたことがきっかけで商品化されたという。

 浜地は2020年、21年の1軍登板は計5試合にとどまった。苦しむ息子の姿を見て、両親の心は揺れることもあった。それでも「あの子が成長すればいい。とにかく信じて待つ」と智子さん。中継ぎの軸として活躍している今も、その気持ちは変わらない。

 自宅ではテレビで毎試合観戦し、息子の勇姿を目に焼き付ける。「言葉は多くないけど、野球をしている時、ボールに触れている時が一番幸せそうなんですよ。それを信じて、それだけを信じて」と浩充さん。離れた地で活躍する息子を、福岡の地から温かく見守り続けている。(デイリースポーツ・北村孝紀)

 ※1…グリコーゲンローディングとは、炭水化物の量をコントロールする食事方法。一般的に試合の1週間前から4日前まで低糖質の食事を摂取し、3日前から試合当日は高糖質の食事に切り替える。筋収縮のエネルギーとなる筋グリコーゲンの量の増加を促し、運動中の疲労軽減などの効果がある。

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