【阪神ドラフト選手特集・門別啓人(3)】「裏表がなくて優しくて人気者」きっと虎党からも愛される

 10月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた7選手(1~6位・育成1位)の連載をお届けする。第2回はドラフト2位の門別啓人投手(18)=東海大札幌。

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 周囲の人全員がその内面に引きつけられた。野球を始めた頃から、道内にその名が知れ渡っていた選手だったが、「常に謙虚で向上心がある。弱音を聞いたことがない」と友人、指導者全員が口をそろえる。「強豪校はもっとやってるだろうなって考えたら自分もやる気が出て。やめたいと思ったことはないです」と門別はその胸の内を明かす。

 まさに“努力の人”だ。U-14北海道選抜時代の太田秀蔵監督は「タイム走でもスイングでも他の子が85%くらいの力でやっている中で門別は100%やりきってました。どんなにつらくても絶対に逃げなかった」と振り返る。特に幼い頃から徹底していたのは走り込み。家族ぐるみの付き合いだった金村佳嗣さんは「夜たまたま家の近くを通ったら走り込みをやっているのをよく目撃しました」と証言する。

 それでも「一番つらかった」と明かすのが高校1年の時、大脇英徳監督から気の緩みを指摘され、練習から外されたこと。ボールすら握らせてもらえず、約1カ月、毎日練習が終わるまでひたすら坂道ダッシュを繰り返した。

 大脇監督は「もったいなさがあって。弱音を吐くまで追い込みたかったんです」と明かしたが、門別はその時でさえ一切弱音を吐かなかった。母・実保さんも「全然知らなくて。後になって友達とかから聞きました」と明かす。この経験は間違いなくターニングポイントだった。「下半身もメンタルも鍛えられました。自信になりましたし、力を抜いて投げられるようになりました」。2年時に最速150キロにまで到達した礎となった。

 そんな門別だが私生活は「裏表がなくて本当に優しくて。人気者です」と東海大札幌でのチームメートの守野銀二さんと井上麗次さんは言う。両親も「優しすぎて、よく監督さんにもっとガツガツしてほしいと言われてました」と笑う。試合中でも折れた相手のバットを拾ったり、道具をきちんと手入れしたり。勝負には貪欲だが、野球でもその人柄の良さはにじみ出る。

 「マイペースではなくて自分のリズムを持っている」と大脇監督。他人に流されない芯の強さを持ちながらも、チームの空気は乱さない。そしていつもにこにこしている門別の周りには、自然とみんなが集まってくる。「人柄、性格が1番の武器です」と太田監督。北海道から羽ばたく左腕はきっと虎党からも愛される。

 ◆門別 啓人(もんべつ・けいと)2004年7月10日生まれ、18歳。北海道出身。183センチ、86キロ。左投げ左打ち。投手。東海大札幌から2022年度ドラフト2位で阪神に指名を受ける。富川小1年からJBC日高ブレイヴで野球を始め、6年時に日本ハムジュニアでプレー。富川中では軟式野球部に所属。東海大札幌では1年秋からベンチ入り。最速は150キロ。遠投100メートル。

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