阪神・藤川監督は発信力があり、言葉をたくさん持っている方 阪神園芸・金沢健児氏がエール
V奪還を目指す阪神・藤川球児新監督(44)への期待を示すデイリースポーツ紙の企画「球児虎にエール」。阪神園芸の金沢健児(57)は藤川監督のプロ入りから球史に残る投手への成長過程を見届けてきた。
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44歳というのは本当に若いなと思いますね。高校生のときから見ていたので、そんな時代になったんだという思いが強いです。タイガースの監督は他球団の監督ともまた違って特別だと思うので、それに指名されて、受けたというのはすごいことですよね。
入団から成長していく段階を見ていました。印象に残ってるのは04年後半、1軍に上がってきたときに球がすごく速くなっていて。素人目に見てもバッターの反応が違った。次の日に通路で顔を合わしたときに、『どうしたん?』と聞いたら、『良くなったでしょ』と含み笑いで言ってくれた光景をすごく覚えていて。その時点ではプロ野球史に残るボールを投げるようになるとは、想像してなかったですけどね。
甲子園のマウンドへのリクエスト的なことはなくて、すごく信頼してくれてるなというのがありました。逆に、1回頼らしてもらったことがあって。19年オフにマウンドの土を今のメジャーリーグの土にするときに、タイガースのピッチャーはそれでいいけど、高校野球で使うときにどうしようかと悩んでたんです。そこで、メジャー経験があって、高校生の時にも甲子園で投げてる藤川監督に相談させてもらいました。
そしたら、『まだ体がしっかりでき上がってない高校生で、連投の可能性もあるから、負担が大きくなってよくないんじゃないですか』とアドバイスをもらいました。上っかわに黒土を乗せて多少クッション性を上げたら違うかなと聞くと、『そんな感じにしてあげたらいいんじゃないですかね』って。実際、今も高校野球の時には土は基本的に変わらないんですけど、軸足と踏み出した足で使うところの上っかわは、少し黒土を多くしています。
藤川監督は発信力があって、言葉をたくさん持っている方。解説を聞いていても、分かりやすかったですし。昔の根性論だと今はなかなかそういうのを経験してない世代なので、言葉で説明する監督というのは、選手にとって分かりやすいんじゃないかなと想像します。今の時代にマッチしてるんじゃないですかね。大変な仕事ですが、体に気を付けて、結果が出ることを期待してます。
◇金沢健児(かなざわ・けんじ) 1967年6月6日生まれ、57歳。神戸市出身。高校時代に甲子園でグラウンド整備などのアルバイトを経験し、卒業後に2年間の会社員生活を経て、88年阪神園芸に入社。03年途中からチーフグラウンドキーパー。現在は「スポーツ施設本部 甲子園施設部長」を務める。