阪神・西勇 球児監督方針も心配無用 34歳体の変化にも「心折らさず」先発ローテ譲らん 現状維持更改
阪神・西勇輝投手(34)が20日、西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の3億円でサインした。藤川球児監督(44)が就任会見で示した「力がなくてベテランというのは必要ない」という方針に、「この年齢でできなかったら、引退するのは当たり前」と納得。心配ご無用とばかりに、17年目を迎える来季も先発ローテとしての役割を果たすことを誓った。22年オフに複数年契約を結んでおり、来季は4年契約の3年目となる。(金額は推定)
厳しくも映る新指揮官のベテラン選手に対する指針を、チーム最年長投手は平然と受け止めた。高卒でプロ入りして、17年目に向けての契約更改交渉を終えた西勇。ストレートな“球児発言”を「叱咤(しった)激励というよりも、当たり前のことを記者に伝えただけじゃないですかね。僕たちは分かっていること」と、みじんの焦りもなく捉えた。
「どこのチームもそうじゃないですか。阪神だけじゃない。年齢重ねて、どう見ても邪魔だろうなと思ったら引退するだろうし、クビだろうし」。10代の頃から厳しいプロの世界で戦い続けてきたからこそ、現実を熟知している。「監督が言ったから、初めて聞いたから、ビビって練習せなアカンというのは、本当にないですね。最初から準備していること」と頼もしく言い切った。
その言葉通り、オフに入ってからは「年齢に応じた肩周りだったり、筋肉だったり」とフィジカル中心のトレーニング。先発ローテを手放さないための努力は、いかなる時でも惜しまない。「今までのベテランの方々のやり方とか、スタイルとかを、しっかり自分なりにかみ砕いて」と“先人の知恵”も借りながら汗を流して、新シーズンへと備えている。
加齢による体の変化はあっても、「向上心と闘争心が消えたら、プロ野球は無理ですから。6人のローテーションに居続ける闘志が消えたら、まず練習できない」と34歳のハートの強さは若虎にも負けることはない。「ここでなぜ練習するんだって、戦いに行くんですから。自分の心を折らさずに全うしていきたい」。寒さを感じるオフシーズンも、内に秘める熱さは変わらない。
今季は6月21日・DeNA戦(甲子園)で通算2000投球回の偉業を達成したが、規定投球回には2年連続で届かなかった。イニング数へのこだわりは、「野球人生終わるまでじゃないですかね。野球を終えた時にこれだけ投げたという証しにもなるので、しっかり消化していきたい」と人一倍強いものがある。
「結果を出して、来年またこの契約に臨むだけですね。普通に(1年間の)ローテーションが終わったって言えるように」。覇権奪還へ不可欠なベテラン右腕として、来季のマウンドでも存在感を見せつける。