阪神・熊谷 先制V打はプロ初三塁打 スタメン起用に応えた 8年目の覚悟「打たないと試合に出られない」
「DeNA0-3阪神」(5日、横浜スタジアム)
「熊谷」が日本一熱い!阪神の熊谷敬宥内野手(29)が決勝の2点適時三塁打を含む自身初の1試合3打点。藤川球児監督(44)のスタメン起用に応え、今季初の7連勝に導いた。3カード連続勝ち越しとなり、貯金を今季最多14に戻した。7月無敗の藤川阪神が覇権奪回へ止まらない。
もう「伏兵」とは呼ばせない。熊谷のバットが火を噴いた。連夜の大活躍。この日は「7番・遊撃」のスタメンで最高の輝きを放った。
「大山さんと(前川)右京が2死からつないでくれたので、何とかかえそうという気持ちでした」
そう振り返ったのは四回2死一、三塁。大貫のスライダーを捉えた。「いい感じで当たったので越えてくれと思いながら走っていました」。打球はぐんぐん伸びて左翼フェンスを直撃し、熊谷は三塁へ到達。プロ初の三塁打で2点の先制に成功すると、ベンチも大盛り上がりで祝福した。
熊谷劇場は続く。六回無死一、三塁。内野は中間守備を取っており、「弱い打球でもセカンドの方向に打てれば1点は取れるかな」と考えた。追い込まれてから右腕のツーシームを適時右前打に。前夜はダメ押しの適時二塁打をマーク。この日はプロ初の1試合3打点で試合を決めた。
「守備、走塁だけだったら今のポジションのままで変わらない。打たないと試合に出られない」。そう覚悟を持って臨んだプロ8年目。秋季キャンプでは上本打撃コーチの「もっと自由に打っていいよ」という助言を生かした。フリー打撃で右方向の意識をやめ、思い切り振るようにした。スイングスピードがアップし、打力が向上した。シーズンでも努力を続けた。ナイターでも甲子園には午前9時に到着。誰よりも早く来て準備するのが変わらないルーティンだ。
武器の走塁、守備でも手は抜かない。根底にはルーキーイヤーに2軍監督だった矢野燿大氏から授かった言葉がある。「おまえは(植田)海に負けない選手にならないとダメだ」。本職の内野に加え、自主的に外野も練習するようになった。春季キャンプでは「自分のプラスになる」と一塁守備にも挑戦。小谷野打撃コーチや井上のグラブを借りて感覚をたたき込んだ。試合前の練習はあえて難しい守備位置に就き、シーズン中も工夫して守備力を高めてきた。藤川監督も「普段から準備をしている」とその姿に目を細める。積み重ねた努力が実を結んだ夜だった。
チームはこれで今季最長の7連勝。今季最多タイの貯金14と勢いが止まらない。ただ、立役者は「7連勝はチームの力。また明日勝って連勝を伸ばしていければ」と謙虚に話した。結果を残しても慢心はない。「常に競争なので、本当に結果を出すだけ」。誰よりも汗を流し、チームに欠かせない存在となっていく。
野球スコア速報
関連ニュース
