阪神・藤川監督が涙 石井が左アキレス腱損傷「日本を代表して戦ってくれようとしていた」無念のWBC辞退
「阪神春季キャンプ」(12日、宜野座)
阪神は12日、石井大智投手(28)が大阪府内の病院で「左アキレス腱(けん)の損傷」と診断され、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場辞退を日本野球機構(NPB)に申し入れたと発表した。検査結果を受け取材に応じた藤川球児監督(45)は、「チーム全員が悲しんでいる」と言葉にならず涙。全治は非公表ながらシーズン開幕の復帰も絶望的な状況だ。指揮官は「復活する時を…」と一丸で戦う覚悟を示した。
ふいに上を向いた藤川監督が、こぼれそうになる涙をこらえた。耐えようとしても緩む涙腺。今度は下を向き、質問を手で制して心を整えようとしたが、言葉が出なかった。温暖な日差しが注いだ昼下がりの沖縄・宜野座。あまりにもミスマッチな姿が事態の深刻さを色濃く映し出していた。
前日11日の紅白戦で負傷降板した石井について、この日、球団は「左アキレス腱損傷」と診断結果を発表。同日朝、帰阪後に大阪府内の病院で検査を受けた。指揮官が「まだ結果を知らない選手もいる」とした中で明かされた衝撃の事実。全治などは非公表ながら、シーズン開幕も絶望的だ。
「仕方が…ない…です」。言葉を絞り出した後、約1分間の沈黙が続く。夢にまで見たWBC出場に向け、例年よりも急ピッチで調整を続けた中での故障。現役時代は06、09年と2大会連続で出場した藤川監督も、内転筋を痛めケガを抱えたまま出場した。無念の石井を代弁するように、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「日本を代表して戦ってくれようとしていた。選手はそれぞれギリギリのところで挑戦しているということを、ファンの方に分かっていただけたらありがたいかな、と」
藤川“監督”の胸中より先に、「アスリートとして」無念さを思う。日々の限界に挑戦した先に、感動を届けるプレーがある。石井のひたむきな姿に感じていた。「監督としてはチームとして進んでいく方法はあるけれど、彼は素晴らしいアスリートですから。また復活する時を、ね…」。涙を流し、寄り添うことしかできない悔しさもある。目は真っ赤に腫れた。
球団はNPBにWBC出場辞退を申し入れた。一般的に回復まで時間を要す大ケガだけに、開幕は絶望的。連覇に挑むシーズンも当面は石井不在の戦いになる。藤川監督も「心臓」と表現するブルペンの柱。離脱による影響は計り知れないが、指揮官として前を向いて戦わなければならない。「彼のことを心配しながら言い方を変えれば」と言って続けた。
「そのためにチーム力を上げているわけですから」。今キャンプのテーマは、黙って積む。石井にはケガを糧に、ナインには逆境をバネにした飛躍を願う。侍ジャパンの宮崎合宿に向かう坂本、佐藤輝、森下には「元気でやることですね、はい…」と無事を祈った。指揮官として涙で誓った再出発。思いを背負ってシーズンに向けた準備を進める。
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