阪神・矢野謙次新コーチに聞いた巨人との違い「勝負、アウト、勝つことに厳しい」 佐藤輝が抜ける攻撃陣強化へ代打の極意と練習法
2リーグ制以降では球団史上初の連覇を果たした藤川阪神が、高知県安芸市で秋季キャンプを行っている。来季の新体制もこのほど発表され、インタビュー企画「新コーチに聞く」がスタートする。第1回は矢野謙次1軍打撃チーフコーチ(46)が登場する。代打として巨人を支えた現役時代の極意を明かし、三冠王・佐藤輝が抜ける来季の攻撃陣について、目指す指導者像などを2回にわたって語った。
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-秋季キャンプからチームに合流して、阪神の雰囲気は。
「練習の中に厳しさがあるな、とすごく感じています」
-巨人との違いは。
「タイガースの方が勝負、アウト、勝つということに、厳しく捉えているなと感じます。だから連覇しているんだろうなと」
-それを具体的に感じる部分。
「アップ中、トレーニングコーチの声のかけ方、監督、コーチのアップを見つめるまなざし、技術練習をする時のコーチの方の声かけや熱量。そういうところから感じますね」
-巨人から見た阪神のイメージ。
「もっと選手が関西のイメージで、もっと荒々しいのかなという感じがあったんです。ですけど、そんな感じは全くなくてみんな品がいいなって。みんないい子ですし、優しそうな、いい子が多いなという気がします」
-来季からセ・リーグでもDH制が導入。
「選手や僕たちもそうですけど、代打の機会が減ると思うので試合の準備はしやすいんじゃないかなと思います。控えのバッターの準備を考えることは少し減るんじゃないかなと思います」
-現役時代は代打での勝負強さが光った。
「僕の経験とか、コーチになって選手を送り出すときのアレとしては、割り切りが大事だと思います。スタメンで出ている人でも全部の球を打てないし、代打は特に打てない。代打で良くて(打率)2割。2割5分打ったら半端じゃないなという感じだと思う。劣勢時だと、そのチームのセットアッパーや抑えと対戦しますから。レギュラーで出ている人でも難しいのに、代打という難しい立場でいくと、なお難しい。代打は割り切り、待ち方が大事なんじゃないかなと思います」
-代打で成績を残すための練習はあるのか。
「遊び心を持って対戦相手が誰、とか。打撃投手が投げててくれるボールですけど“仮想、○○”や“このケース、代打”とか言って遊び心でやっていました」
-勝負強さは技術的なアプローチ以外で養っていける。
「僕はそれしかないですから。常に試合を想定した練習をする。僕だったらシーズン中の全体練習開始前に、ストレートマシンで相手先発とベンチに登録されている中継ぎ投手全員をイメージして対決する。その全員からヒットを打つ練習をしていました」
(続けて)
「それを試合前にやっておく。そうすると、代打で出た時に“初対戦”じゃないんですよ。初見じゃないんです。初見で対決してもヒットが打てなかったら『2軍に行ってきてください』という、僕はその立場の選手だった。そうならないために。僕の中では初見じゃなくて何度も対決している。だから初球からいけるし、それも準備の仕方。仕事、仕込みだと思うんですよね」
-今キャンプで選手にそういう話は、まだしていない。
「していないです。今は体をちゃんと使う、理にかなった体の使い方がどういうことなのかの基礎づくりをやっているところ。足し算ができない人にかけ算をやらせるのと一緒で、基礎を作ってから応用編をやる。最初は時間がかかるんですけど、承知の上で。ここの基礎ができれば後はすごく楽になる。ここを丁寧に仕込みをするというのが、大事じゃないかなと思う」
-来季、チームとしては三冠王の佐藤輝が抜ける。ホームランバッターを育てる重要性は。
「いつでもそうだと思うんですけど、でもホームランを打つだけが野球じゃないですし、打線と言うようにつながってヒット、四球、走塁も絡めてとか、そういう点の取り方だってある。ホームランだけが野球じゃない。チーム状況や構成メンバーで考えて『このメンバーで点を取るには何が最適かな』と。そのやり方をやっていけばいいんじゃないかなと思います」
(続けて)
「それ(長距離打者の育成)も並行してやっていきます。ファームに体が大きかったり、当たったらすごく飛ぶっていう子がいるとなれば、そこの育成もしつつ。どっちもやっていくってところで、もうずっとその作業の繰り返しだと思います」
◆矢野 謙次(やの・けんじ)1980年9月21日生まれ、東京都出身。46歳。国学院久我山-国学院大を経て、02年度ドラフト6巡目で巨人入り。3年目の05年に頭角を現し、06年から2年連続で100試合以上に出場。15年シーズン中に日本ハムへ移籍し、18年に引退。日本ハム、巨人でコーチを歴任した。
