彼が国会議員になれば

 【7月5日】

 友人が参院選に出馬した。東京選挙区に無所属で立候補した彼の肩書は作家。名前を伏せても当欄の読者にはバレバレかもだけど、個人的にもお世話になった彼が、もし国会議員になれば…

 取材者として聞きたいことが…そう書きたいところだけど、まだ早い。日曜の投開票で彼の職場が永田町に決まれば、当欄でも。

 「誰もがチャレンジできる社会にしておくことは、決して少数派の為だけではありません。この社会に生きるすべての人のため…」

 この決意が嘘っぱちでないことは、ほんの少しだけ彼のことを知る者として…いや、たとえ個人的な見解でも、今ここで書くことは媒体の性質上、控えておく。

 記者たるもの…

 若い頃、センパイから客観公平うんぬんを教わった。けれど、記者も感情をもつ人間。好き嫌いはあるし、肩入れもする。それが筆にあらわれるのも記者の個性であり、一概に否定されるものではない。その好みは読み手が判断するもの。僕はそう思っている。

 メディアとして阪神に長く携わってきた。あまた記者と選手の人間ドラマを見させてもらったが、今週の日曜も感動した。才木浩人の復活星を祝う紙面では、彼と高校時代にバッテリーを組んだ虎番北村孝紀がありったけの「取材」を紙面に綴っていた。友情、そして、愛情が溢れる原稿は、ツイッターでも話題になっていたし、あれは究極の肩入れがあるから書けるもので、それが読み手の琴線に触れる。僕もホロッとなった。

 北村の場合、高校時代に築き上げた才木との信頼関係だけど、この世界でそれは稀なこと。では、そのような関係性を記者になってから築き上げたり「記者と選手」として強固なものにするのも、もちろんありだと思う。

 日曜の感動といえば、大山悠輔の100号弾もそうだった。残念ながら休載で「取材」を綴れなかったけれど…夜遅く大山へ祝いの言葉を送らせてもらった。

 当欄が大山に肩入れするのは、まずもって彼の人間性に敬意を抱いているからである。それがどんなものかはこれまで当欄で綴ってきた通り。「一流だから」「成績を残しているから」「それなりの立場だから」がそれを抱く理由には少なくとも僕はならない。

 大山が記念弾を放った夜、僕はもう1人、ある男に連絡した。

 打撃コーチ新井良太である。

 良太コーチの、選手、チームに対する思いはなかなか活字にならないし、読者の目につかないかもしれないけれど、長い付き合いになる者から言わせてもらえば、これだけ献身的な指導者は希少だ。 ぶっちゃけ、保身や承認欲求の塊みたいなコーチも過去に見てきた。俺がこいつを育てたんだの部類である。そういう意味では良太は不器用。でも、仲間を裏切らない彼の…いや、あまり書くと怒られそうだからこのへんで。

 記者のモノサシも様々である。ただ、取材に基づかない、いい悪い、好き嫌いのモノサシは、ナシだと思っている。=敬称略=

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