Classを超えて

 【7月7日】

 新ドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)がスタートした。韓流ドラマ「梨泰院(イテウォン)クラス」を全16話漏らさずNetflixで見た筆者は、リメーク版の楽しみ方を迷ってしまう。

 「六本木-」主演の竹内涼真は朝の情報番組で「イチから作り上げるコンセプトなので、また新しい作品として見てもらえれば」と番宣していたけれど、それはちょっと難しい注文かも。この作品に限らない。リメークされれば、役者も演技も演出も、どうしてもオリジナル版と比べられる。

 パク・ソジュンと竹内。ユ・ジェミョンと香川照之。キム・ダミと平手友梨奈。こっちがいい、あっちがいい…なんて話題になるのは目に見えているわけで、それでも、竹内と香川のマッチアップはきっと本家に負けない。そんな期待感をもって七夕の第1話を見させてもらった。3時間弱で終わったT-C戦のあとに。

 ところで「梨泰院クラス」「六本木クラス」の「クラス」って、どういう意味かご存じだろうか。それを深掘りした韓国のサイトを調べてみると、英語のClassで間違いないようだけど、それも多義あるなかで、このドラマでずばり描かれているのは「階級」。平民クラスが財閥クラスへの復讐を完遂するストーリーに日韓のファンが胸をスカッとさせたのが、オリジナル版である。

 4年前にドラ1「クラス」と見られなかった男が、「クラス」の違いを蹴っ飛ばし、評価を覆したリアルなドラマがここにある。

 近本光司の連続試合安打が止まった夜である。ストップしてあえて書くけれど、球団史に刻まれる金字塔に何度も拍手を送りたい。

 思えば、近本がドラフト指名された夜に僕は当欄でこう書いた。

 【(クジを2度外した)負け惜しみではなく、個人的にワクワク感が半端ない。かつての赤星憲広のように、近本が代役不要で外野の一角を埋められれば、攻撃陣に嫌らしいアクセントがつく】

 18年10月26日の紙面である。

 当時、外野手を欲した阪神は、藤原恭大、辰己涼介を引き当てられず、いわゆる外れ外れ1位で近本を指名することになった。あの夜、ドラフト会場で歓声はあがらなかった。読者からは藤原を逃した落胆の手紙も届いた。

 しかし…あの年ナマ観戦した大阪ガス時代の近本の佇まいに他とは違う特別な雰囲気を感じた-とも書かせてもらった。これみよがしではないけれど。

 同年のドラフト直後、僕は監督を辞したばかりの金本知憲のもとへ話を聞きに行った。

 「16年のドラフトだって『最悪や』とか、散々批判された。(大山、小野、才木、糸原、浜地…)誰やねん?って言われたけど、ドラフトの評価はすぐにはできないもの。5年後、10年後、どうなっているか。もし、近本が盗塁王になったら、皆どう言うよ?」

 18年10月28日の当欄である。

 盗塁王、最多安打、そして…。近本は自ら尊いクラスであることを証明し続けている。=敬称略=

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