懲罰じゃ…ないんだ

 【7月13日】

 打球が一塁へ転がると、前進守備を敷いていた中田翔は逆シングルで捕球を試みた。あのゴロで三塁走者を本塁で封じるにはこの捕球がベスト。しかし、中田はファンブルし、適時失策となった。

 それにしても驚いた。阪神の猛攻に…ではなく、巨人の用兵に。

 二回にこのプレーがあり、巨人先発のメルセデスが降板すると、その同じタイミングで中田までベンチへ下げられてしまった。

 巨人三回表の攻撃は8番・中山礼都から始まるため、原辰徳は2番手投手の戸根千明を6番に、増田陸を9番一塁に入れたわけだけど、投手に巡る打順の兼ね合いがあるにせよ、まだまだ原采配に慣れていない当方は、瞬時に「なるほど…」とはならなかった。

 点差が開いたとはいえ、まだ序盤。中田は第1打席で併殺をくらったけれど、前夜はホームランをかっ飛ばし、その前の試合(DeNA戦)でも2安打している長距離砲である(いうまでもなく)。

 じゃ仮にこの夜、阪神の一塁手J・マルテがまったく同じ状況で中田と同じようなミスをしたら、さっさとベンチへ下げられただろうか。そんなふうにあれこれ考えていたのだけど、原巨人を長年担当している本紙G番キャップの伊藤は、甲子園の記者席で特に驚く様子もなかった。

 「きょう僕は原さんの囲み会見には入っていないのですが、とくにあのシーンに関する質問は出なかったようです。あれは、とくに懲罰のようには…」

 試合後、伊藤はそう話した。

 そうか。触れるまでもない類なのか。できれば原サンの言葉を聞きたかったけれど、勝手に察すれば…二回で大差もついたし、9連戦の2戦目で、ブルペンとの兼ね合いもあるし…ってなところか。チームに帯同し、ずっと原采配を見ていれば、ああ、いつもの…って思えるのかもしれない。

 中田は守備のうまい選手だし、

僕は日本ハム時代から何度も彼の好守を見てきた。二回のプレーも消極的な類ではなかったし。

 とにもかくにも、阪神はこれで巨人戦8勝6敗とし、2つの勝ち越し。2年連続の勝ち越しとなれば、03年(17勝10敗1分け)、04年(17勝10敗1分け)、05年(14勝8敗)の3年連続以来となる。

 しかし、強い巨人を倒したい我々としては、今季の原巨人には、らしくないものがある。特筆すべきは失策の多さだ。この試合前までのそれを少ない順に並べたものがこれ。

 (1)ヤクルト=35

 (2)DeNA=38

 (3)中日=41

 (4)阪神=45

 (5)広島=51

 (6)巨人=53

 巨人はこの夜の4失策を足して57になったわけで、そりゃ、原サンもおもしろくないはず。

 点差が開いた試合でありがちな守備の乱れは両軍に出た。阪神はマルテの失策を含む2失策。きのう一塁守備の話を書いたばかりだけど、大山悠輔の離脱が長引かないことを願うばかり。=敬称略=

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