松井より上…ですか

 【8月3日】

 佐藤輝明が戸郷翔征の投球モーションを盗み、二塁へスチールを決めた。四回2死の攻撃だ。後続が絶たれ得点ならなかったが、完全にクセを見抜いたようにスタートを切ったことは有意義だった。

 戸郷のまっすぐは走っていた。僕の見る限り、これまでの対戦でも屈指だったように思う。中野拓夢の先制打は見事だったけれど、セーフティーリードが「無い」とまでいわれる此のドームにおいて、とりわけ好投手に対しては、追加点の糸口はどんな扉を使ってでも探りたいところ。そういう意味でも今季8つ目となる輝の盗塁が、このゲームの中盤から終盤にかけて、巨人バッテリーの〈目障り〉になれば…そんなふうに考えながら投手戦を追った。

 戸郷は今季この試合まで対阪神は17イニング防御率0・00を誇った右腕である。なんとか足で揺さぶりたいところ…振り返れば、先頭打者の出塁は七回の一度きりだった。こうなれば、梅野隆太郎が五回に一発回答したように、飛び道具に効果を見出したくなるわけだけど、そこで4番の輝である。

 巨人戦の一発にフォーカスすれば、輝は今季16本塁打中ここまで2本。4月29日(東京ドーム)以来遠ざかっている。初戦(2日)のように価値ある打点を挙げれば文句なしだけど、この夜のような膠着したゲームでは、やはり4番のそれを頼りにしたくなる。

 さて、逆転優勝を狙ううえで気にせざるを得ないのが首位の動向だ。それにしても、もう、あの、あそこの主砲はどうなっているのか。どうせ、また打つんでしょ。ちょっと投げやりにもなってしまうし、この夜ヤクルト打線と対峙した中日バッテリーの苦心も目に浮かぶ。

 「村上の凄さは、構えから打ちにいくまでスキがないこと。あとは、どの球種に対しても打球に角度がついてゴロが少ない。とにかくボールの捉え方がいい。以前より、打席でベースから離れて立つようになって、やや苦にしていたインコースの見極めもできるようになったし、なおかつ、外の甘い球は一発で仕留める。今の村上は松井秀喜以上じゃないかな」

 これは中日スコアラーから聞いた「村神」評である。

 松井より上?

 此のドームで何度も痛い目にあったあのゴジラより、上なのか。

 確かに、5打席連発は松井も達成していない。3打席連発が一度あるのみ。4打席連発は、王貞治やR・バースらが記録したが、その上をいく22歳っていったい…。

 なんてボヤいていても始まらない。我が軍の4番・輝だってよその分析班からいつか「松井以上」と呼ばれてほしい。先に「扉」の話を書いたけれど、しかし、ストロングの数でいえば、輝は松井や村上に負けていない。近い将来、「三冠王」の土俵でも、そして、「トリプル3」の夢を追えるのも輝の強みだと僕は感じている。

 ヤクルト担当の松井美里によれば「え?村上の足?遅くはないですよ!」。今季の盗塁?9つ??走らんでいいっすよ。=敬称略=

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