修正しないといけない

 【8月10日】

 大阪桐蔭監督の西谷浩一は「修正しないといけないところだらけです」と大粒の汗を拭った。大波乱が起こるか。そんな空気が漂ったこの日(10日)の甲子園、第1試合。名将は猛省していた。

 「苦しいゲームをしっかり繋いで後半逆転しましたが、トータルで見たらミスも多かったですし」

 春の王者は旭川大高に先制を許すと、三回までに3失点。大阪大会7試合でたった1点しか失わなかった横綱が、よもやの苦戦を強いられた。同点に追いついたのは六回。勝ち越したのは七回。中盤でビハインドを負うなんて不慣れな超高校級の選手たちだから、これはもしや…と思いながら観ていたが、そこは西谷軍団。選手の力はもちろん、やはり「監督力」を感じるゲームでもあった。

 全国の「名将」と呼ばれる監督ならどなたにも共通するマネジメントだけど、西谷ほど百戦錬磨の指揮官になれば、どんな相手であれ、甲子園を舞台に「舐める」とか「油断する」とか、選手たちにそんな潜在意識を抱かせない。

 だから、このゲームを振り返って感じることは、旭川大高は純粋に強かった。力があったということ。現に、投手のポテンシャルは素晴らしかった。大阪桐蔭が初戦で負けるなど客観的になかなかイメージできない。そんな相手に、あれだけの投球を見せた右腕、池田翔哉に対するネット裏の評価は一気に上がったと聞いた。

 「前半、ちょっと、池田くんの術中にはまった形になりました」

 そう振り返った西谷だが、しかし、僕が「監督力」を感じたのは好投手を攻略したタクトよりも、三回までに3失点した先発の川原嗣貴を続投させたことだ。

 西谷が信頼を置くエース級が川原のほかに4投手ベンチ入りする大阪桐蔭だから、いざとなれば即座に代えて建て直せばいい。しかし、一発勝負で想定外が起こっても、そこでバタバタしないところがにくらしかった。

 これだけ苦しい展開になるとは戦前、大方の関係者は誰も想像しなかったと思う…。

 こちら、阪神だってそうかもしれない。落とせない星。横浜に乗り込んだ今カードはそんな強い気持ちで臨んだに違いない。矢野が信頼する伊藤将司は踏ん張った。

しかし、相性がいいDeNAに対し、今季はこれで8勝10敗に…。

 11年=12勝10敗2分。12年=11勝10敗3分。13年=10勝14敗。14年=16勝8敗。15年=14勝11敗。16年=15勝9敗1分。17年=14勝10敗1分。18年=17勝8敗。19年=16勝8敗1分。20年=12勝9敗3分。21年=14勝11敗…

 数字を見て分かるとおり、最近10年間で阪神がDeNAに負け越したのは1度だけ。もちろん油断などあり得ない。今季のDeNAは力があるということ。コロナ禍による離脱者が相次ぐいま、矢野阪神最終年の正念場である。想定外が起きようと、最終的に逆転したいカードだけに、この窮地でミスを減らしたい。必ず一つ、大切な星を拾って大阪へ帰ろう。=敬称略=

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