It’s My Life
【9月13日】
ジョン・ボン・ジョヴィが称賛を浴びている。世界的ロックスターが米テネシー州ナッシュビルで歩道橋から身投げしようとしていた女性を説得する姿を防犯カメラが捉えていた。
なんでも、ボン・ジョヴィはミュージック・ビデオを撮影中だったとかで
たまたま橋の欄干の外側に立つ女性を発見。声を掛けながらゆっくり近づき最後は女性を優しく抱きしめた。
もし、声掛けが裏目に出れば…。人命のかかった場面で躊躇なく行動した勇気を世界的スターが示した影響力は計り知れない。
ボン・ジョビといえば…
新井貴浩の阪神時代を懐かしむファンも多いのではないか。FA移籍でタテジマに袖を通した新井はボン・ジョビの大ヒットナンバー「It’s My Life」をテーマ曲に打席へ向かっていた。15年ほど前、新井に「なぜその曲を選んだのか?」と聞けば「気持ちが高揚するでしょ」と話していたが、歌詞を調べてみると、何だか新井らしいと思った記憶がある。
It’s My Life
自分の人生だ-。
I just want to live while I’m alive
生きているうちは、思う存分、生きたいんだ-。
自分に真っすぐ。野球に真っすぐ。
そんな生き方を地で行くものだから、阪神から古巣カープへ戻っても、チームメート、ファン、そして我々メディアからも慕われた稀少な存在である。
この夜、敵将として甲子園の三塁ベンチに座る新井は時おり歯を食いしばり、それでも穏やかに、カープ劣勢の戦況をジッと見つめている。マツダスタジアムで巨人に3タテを食らい、おそらく悔しさ引きずったまま甲子園へやってきた。ファンの期待に応えたい…その一心で戦うからこそである。
「なかなかファンを喜ばせてあげることができていないので……」
これは6年前、新井が引退会見で語った「身を引いた理由」。いつ何どきもファン目線を忘れない男だ。
嗚呼、夏の終わりは寂しいニュースが飛び込んでくる季節でもある。
我らが阪神の秋山拓巳、そして、ヤクルトの青木宣親が現役引退を発表した。秋山は近日中に会見を行うそうだが、青木はこの日都内の球団事務所で涙の引退会見。決断の理由を聞かれると、「一番は自分の思ったようなパフォーマンスがファンに見せられなくなったこと」だと語っていた。
一流ほど、ファン目線。退くときによく分かる。
縁あって、青木と彼のご家族には大変お世話になっている。メジャーリーグへ移籍してからもオフは必ず自主トレにお邪魔させてもらった。
通算打率・3128。青木が一流であり続けた理由を書けば、あれだけの実績を残しても「学ぶ」ことに制限を設けなかったこと。誰の助言であれ耳を傾け、成長の可能性を探る。思う存分、生きたい矜持…。近いうちに青木に会いに行こうと思う。=敬称略=