「茶禅一味」で頂点を獲る

 【3月5日】

 阪神タイガースが「えびす宮総本社西宮神社」で必勝祈願を行った。この恒例神事を取材するのは何年連続何度目だろうか。そんなことを考えながら藤川球児の参拝を目で追った。

 修祓で身を清め、宮司が祝詞を奏上する。神饌を供して神様をお迎えし、玉串を捧げて拝礼…見慣れた祭事の流れだ。そういう意味で新鮮みはないが有り難みとはそういうものだ。でも、今年はちょっと発見があった。

 えべっさんの庭園も枯山水!

 そんなことに感動しているのは僕くらいだろうか。

 枯山水とは砂紋で川の流れや波を表現する庭のこと。筆者のちっぽけな史観ではそれは「禅寺」に限定されるもの。英語で「Zen garden」といわれるほどだから「神社には無いもの」と思い込んでいた。神仏習合といえばそれまでだけど、勉強になる。

 「禅」の思想を体現した庭=枯山水で二礼二拍手一礼する球児を眺めながら、ふとあの言葉を思い出した。

 「黙って積む」

 虎将は沖縄キャンプの囲み会見で何度となく言った。僕がある若い選手の活躍を聞いたときも「積むことです」と繰り返した。あれって、もしかして「禅」の心得を説いたものか。

 禅とは、集中して心を整え、「無」に近づく思想といわれる。陥りがちな自分本位の考え、欲、執着を手放すため精神を鎮め、練習を積む、と。座禅を組んでバットを振ったりボールを追うわけにはいかないが、日々そんな信条で没頭すれば必ず上達は叶う。球児は「禅」にならっている。そんな気がしてきたけど、ぜんぜん違う?

 さて、いよいよきょう、侍ジャパンが世界一を獲る旅に出る。そこでまた「禅」の勉強を一つ。例の改訂セレブレーション、「お茶点てポーズ」について蘊蓄を書いてみたい。

 左手で茶碗を持ち右手でクルクル。お茶を「たてる」を漢字で書けば「点(た)てる」。発案者の北山亘基(日本ハム)は「ダイヤモンドをかき混ぜてみんなで点数とっていきましょう」と呼びかけたそうだが、そんな北山に「茶禅一味」という言葉を贈りたい。

 「茶道」もその精神は「禅」の教えと同じ…その字の通りだ。「点てるお茶」はもちろん喉が乾いたから飲むそれとは違う。禅行と同じく、悟りや精神的な平穏を求めるための道といわれる。茶飲みという日常に精神修行を見出し、自身の心と向き合って今この瞬間に集中する。つまり、茶と禅は等しい。というわけで「お茶点て」はヒリヒリする国際舞台にふさわしいパフォーマンス!勝手にそう思いながら井端ジャパンの勝ち上がりを観戦したい。茶碗を持つ手に汗かきながら。

 ちなみに、西宮神社では毎朝夕「日供祭」という神事を執り行っているそうだ。365日欠かさず、あの「福男選び」の日も斎行する。神様にお食事をお供えするまつり事で、その日の無事、安全、日本の繁栄を祈る。この日参拝できなかった侍3選手のセレブレーションもきっと願ってくださる。=敬称略=

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