自分がどうとかじゃない

 【4月25日】

 14時1分プレーボールのゲームが幕を閉じたのは18時59分だった。「5時間ゲーム」はなかなかお目にかかれない。梅野コールが響いた終盤の甲子園だけど、「主役」は決まらなかった。

 記者席からの景色はすっかりナイターだ。バックネット裏から梅野隆太郎の背中を長いこと眺める土曜の夜になった。二回を終わって1時間。序盤から長丁場は想定できたが、九回に決着がつかなかったのは、個人的に口惜しい。この回からマスクをかぶった梅野が岩崎優と握手を交わせば絵になった。でも、うまくはいかない。昼間から日の入りまでグラウンドを見つめると、情景はガラッと変わる。何を書こうか迷ってしまうが、奮闘した選手たちのどこに惹かれるかといえば、勝つために変わることのないマインドもそうかもしれない。

 ヒーローになり損ねた男に焦点を当てれば、十二回のチャンスで打てなかった梅野もそうだが、もう1人は小幡竜平だ。八回2死満塁で押し出し四球をもぎとり、藤川球児に監督100勝をプレゼント…となるはずだったが、九回に同点に追いつかれ、殊勲はお預け。おかげで(?)延長でもう一本ヒットを打てたことは良かったが、最終回に一本出せず、最後の打者にもなった。そこであえて巻き戻したいのは四回、小幡の第2打席である。

 三振じゃないか。そうなんだけど、無死一、二塁のチャンスで右方向への強い意識が見えた四回の打席は「いいな」と思った。初回に両軍が取り合って1-1。阪神打線が広島先発F・ターノックの動く球に苦労する中で、スタメンだった小幡はこの打席で初球、2球目と空振り、そのスイングに「やるべきこと」が伝わってきた。

 2戦目もデーゲームだし、足止めするのは気が引けたが、試合後そこだけ確かめさせてもらった。小幡は言う。 「あっち(右)へ転がせれば、二、三塁。最悪、僕が残って一、三塁。広いところは見えていたので…。練習するしかないと思います」

 2本のヒットと四球、その3出塁について聞かず申し訳なかったが、次回は快音を掘り下げて聞かせてほしい。

 「チーム打撃」といえば、試合前のバッティング練習を見るのが好きでいつも食い気味に見入ってしまう。そこで各々の「意識」が目に留まる。阪神に限らない。カープでいえば、毎度エンドランの想定も交えてバットを振っているのが菊池涼介である。15年目の36歳が怠らない「準備」だけど、彼の場合、誰かの指示でやるものでもない。バント練習もしかり。なぜ、やっているのか。「チームのため」に決まっている。3連覇時代の主力だった菊池に聞けば、こんなふうに答える。

 「(3連覇の)あのころは4番に入った新井さんが右打ちしてたくらいですからね。ノーアウト二塁で4番打者が状況に応じて右打ちするという…。自分の打率がどうとかじゃないので」

 変わることのないフォア・ザ・チームのマインドが垣間見られれば、どれだけ長いゲームでも晴れやかにPCのキーをたたける。   =敬称略=

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