怖いもの知らずでばんばん

 【4月28日】

 沖縄でヤクルト新GMの青木宣親に会った。2月初旬のことだ。ベンチ裏の通路でばったり出くわしたのだが、ジャージー姿だったので咄嗟に分からなかった。互いに「あっ…」。

 青木は引退後、小川淳司GMの特別補佐を一年間経験し、今年1月1日付の人事でGMに就任した。燕を愛してやまない旧知の44歳が編成トップとしてどんな仕事をするのか。興味津々で浦添キャンプにお邪魔したわけだが、その動きを追えば、打撃ケージの背後で選手の動きを追い、頻繁にスタッフとコミュニケーションを取っていた。

 「若い選手にチャンスを与えたいと思っています。こわいもの知らずで、ばんばんやってほしい」

 そんなふうに語っていた新GMだけど、その言葉の裏側にはもちろん村上宗隆のメジャー移籍など、転換期のチーム事情がある。

 確かに、開幕からここまで池山スワローズの進撃を支えているのは、若い力である。その彼らが「怖いもの知らず」かどうかは、この9連戦のアタマにでも見定めようかと思っていたが…

 ヤクルト打線が才木浩人の150キロ超の速球を嫌がりも、怖がりもしていないように見えた。こちらの視点でいえば、悪夢のような二回の6失点だったが、6点目を挙げた内山壮真は、坂本誠志郎の外角要求がシュート回転で真ん中に入った151キロを迷いなくジャストミートしていた。

 先述の2月を振り返れば、その内山が左脇腹を痛めて離脱し、ほかにも山田哲人や、ドラ1ルーキー松下歩叶もケガで沖縄を離れた。池山サンは浦添のグラウンドに清めの塩をまいたと聞いた。そうでなくとも戦力不足といわれていたし、泣きっ面に蜂…同情した2カ月半前だったが、蓋を開ければ、この奮闘ぶり。GWを前に阪神とヤクルトが首位を争うとは、大方の野球解説者は予想しなかったはずだ。

 ヤクルトって、なぜ強いの?

 そう聞かれて「送りバントに頼らないから」と答えるのは、まだちょっと早いかなと思いながら見ているが、二回の攻勢でもやっぱりイズムが出た。

 ヤクルトが2点を先制してなお無死一、二塁の戦況で、打席に先発投手の吉村貢司郎が立った。定石なら?送って1死二、三塁。追加点を狙う。が、燕は…吉村がバットを寝かせたのは2ボールからの3球目のみ。これも「そぶり」だけで一塁ベンチはバントさせるつもりはなかった。結局ここで才木は四球で歩かせてしまい、ビッグイニングを献上することになる。

 この夜、神宮のお立ち台に上がったのは、内山壮真、23歳。武岡龍世、24歳。赤羽由紘、25歳。絶対的4番の村上が抜け、かつての山田もいない。長距離砲不在となれば小技を絡めて少ないチャンスを…そう考えそうなものだが、池山-青木体制は若い選手に制限をかけず「怖いもの知らずで、ばんばん」やらせている。

 七回にお隣の国立競技場で花火がばんばん上がっていた。聞けば、TWICEの東京ツアーがあったそうだが、さすがに楽しめない夜だ。=敬称略=

編集者のオススメ記事

吉田風取材ノート最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス