立石のカウントダウンを見る

 【5月16日】

 ハムはこわい。サッカーW杯北中米大会でエース三笘薫が左ハムストリングス肉離れの重傷で選外になった。大会まで1カ月を切った中だけど、最新鋭の治療器で何とかならないのか?

 ならないらしい。一番無念であろう日本代表監督の森保一は「大会中の復帰は難しいと報告を受けて不選出としました」と語っていた。ハムストリングス…いわゆる「ハム」とは、太もも裏にある筋肉の総称をいうが、ここをやっちゃうと厄介であることは知っている。同じくサッカーでは久保建英が1月に左ハムストリングスを痛めた。W杯には間に合ったが、2カ月以上に渡って戦線離脱を余儀なくされた。最近のプロ野球でもハムの負傷で戦列を離れる選手は少なくない。

 その一人が阪神の立石正広だ。先月「右ハムストリングスの筋損傷」と診断され、ファームで完全復調を目指している。指揮官の藤川球児は彼の1軍昇格について、ファームで「50~60打席」の消化が目処になると語る。残り「20」程度だけど、数字はあくまで目安。回復次第で早まるかもしれない。これは見ておきたい。そう思って特急「やくも」で鳥取県米子市へ…。

 懐かしい球場で立石の「現在地」を確かめた。かつて井川慶のプロ初勝利を拝んだスタジアム(いまは「どらドラパーク米子市民球場」という)でファームリーグ・カープ戦に先発出場した立石の3打席、そしてレフトで4度の守備機会を見させてもらった。

 唯一の「H」は一時勝ち越し点を演出する一打になったが、これは三遊間を破ったもの。痛烈なゴロだった。

 では、注目の守りはどうか。

 レフトライン際の打球を二度処理したが、打球までの加速もスムーズだし、捕ってから投げるまでのスピード感も快調に見えた。ならば、走塁は?

 二塁走者に立った七回は栄枝裕貴の右飛で帰塁し、タッチアップで三塁を狙う構えを見せた一連の動きにはキレがあった。いいじゃないか。

 試合後、ファーム監督の平田勝男に確かめてみた。立石に掛かる「制限」について聞けば、こんなふうに言う。

 「風、あしたを楽しみにしておいてくれ。あしたの朝の状態を見て…。きょう3打席立ったということは、クリアしていく段階が見えてくるだろ?」

 この日の3打席で「34打席」を消化した。順調なら今週にも「50打席」に到達する。カウントダウンが楽しみになるが、しかし「健康」を優先する球児一流のマネジメントを想像すればセーフティ・ファーストが前提だろう。

 古い話だが、それこそ、若かりし頃の平田勝男がレギュラーに近づいたのは、岡田彰布がハムストリングスを痛めて長く戦列を離れたからだ。

 「彼は打つ雰囲気を持ってるよ。守備も問題なくこなしているし…」

 平田の言葉を米子で聞けば、立石を早く1軍で見てみたくなった。が、やはり、ハムはこわい。だから願わくば佐藤輝明ら強力な兄貴分たちが気温の上昇とともにプレーで立石に語りかけてもらえれば…。焦らず、ゆっくりでいいぞ、と。=敬称略=

編集者のオススメ記事

吉田風取材ノート最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス