目の色が違う虎と鯉の面々

 【7月5日】

 雨中のカープ戦、勝負の分岐点はどこだったか。そりゃ敵失を呼んだ佐藤輝明の一打だろう。五回にいただいた「ランニングホームラン」で決まり。大方の見方はそうかもしれない。

 雨中のフィールドは見ている者が想像できない「想定外」が起こる。もし僕がカープに軸足を置くコラムニストならそこを突いてネチネチ書かない。次、やり返せ。プロの選手にこちらがそれ以上言うことがあるか。ただ…

 もしミスした当事者の目の色が変わらなければそのときは「1軍に居てはいけない」と書く。野間峻祥は昔から思い入れがある選手。この夜の困難を乗り越えてもらいたい思いは強い。

 さて、「目の色」といえば、前川右京のそれが変わってきている。おそらく藤川球児にもそれが伝わっている。昨年12月にそんな種の思いを球児から聞いたことがあった。シーズンが終わるまで書かないでおくけれど…。

 2試合連続となる五回の本塁打はもちろん申し分なかったが、二回のボテボテの同点打も見応えはあった。

 あの打席の戦況は無死一、三塁。カープ内野陣は前進守備を敷かず、同点オッケーの陣形だった。右京は追い込まれた状況で1点を取りにいった。床田寛樹のカットボールに食らいついてゴロを転がすと、三塁走者の佐藤輝明が抜群のスタートを切って生還した。チーム打撃、チーム走塁、「野球」を見させてもらった。

 翻って、カープの「チーム打撃」という視点でいえば、二回に分岐点はあったように思う。先頭の野間が二塁打で出た場面。あの状況で続く佐藤啓介は進塁打を打ちたかったはずだ。追い込まれてからインハイの直球を引っ張りにかかったが、打ち損じた。三塁へのファウルフライは村上の球威にやられた格好か。いずれにしろ僕が注目したのは佐藤啓の表情、仕草…。悔しそうだった。当たり前?もちろんそうなんだけど、極端にいえば、生きるか死ぬかみたいな顔つきが印象的で…。八回のタイムリーにも執念を感じた。

 育成出身の佐藤は反骨心がハンパないと聞くが、カープのスタメンには佐藤のほかに名原、大盛…育成から這い上がった選手が3人名を連ねた。

 赤ヘルには新戦力が「育っている」、そんな認識を持っていいのか。そのあたり、指揮官の新井貴浩は言う。

 「野手は時間がかかりますけど、少しずつ成長してきているかな…。ウチは名原や大盛、佐藤啓介、持丸であったり、育成出身の選手がすごく多いんですけど、実際にこちらから見ていても、彼ら(育成出身の選手)は目の色が違う。絶対に諦めない気持ち、何とかチャンスを掴みたいという気持ち、結果が出なくても必死にやっている姿…伝わってくるものはあります」

 虎も鯉も入団の枠を問わず、選手の目の色はじっと見ていれば違いは分かる気がする。試合後、一塁側の会見で前川について問われた球児は言った。

 「(スタメンを)離さないようにするのは自分(自身)ですから」

 その通り。「伝わるもの」を続けることでしか道は開けない。=敬称略=

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