きみ以外に誰も進めない道
【8月15日】
ナイスゲームでした!試合後のインタビューでそう向けられたカープ監督の新井貴浩に笑顔はなかった。投打とも踏ん張って首位に連勝。それ自体、低迷チームの肥やしになるけれど…
お盆のCT第2ラウンドは、猛虎にとって大事なことを気付かせてくれるゲームだったと思う。Vを狙うチームが最下位に8勝8敗。それはいいとして「この夜のカープ」に屈していては…そう感じるプレーが敵陣に出た。
まず、初回。先頭ヒットで出た小園海斗が菊池涼介のライト右への打球で三塁へ進め(ま)なかった。さらに序盤にもう一つ。三回に先頭ヒットで出た斉藤優汰が菊池の左中間二塁打で三進したが、二塁まではまるで流しているように見えた。この2つの「拙走」について新井の認識を聞いた。
「小園と斉藤でしょ。斉藤はまだ本人に確認できていないんですけど、小園のあの場面の走塁は絶対に三塁へいかないといけない。きょうは勝てましたけど、阪神のようなチームとやるときは一つのミスが命取りになるので、ああいうミスはしちゃいけないし、常に試合に出ている選手が隙を見せると上には上がっていけないと思います」
目の前のこと、いまやれることを全力で…。個人的にも、心機一転仕事に臨んだこの夜である。
終戦記念日に広島で戦争の映画を見た。といえば、重苦しく聞こえるかもしれないが、そのストーリーは現代から1945年にタイムスリップした女子高生と特攻隊員の切なすぎる恋…。
『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』
福原遥主演のこのヒット作をずっと見たかった。8・15だからか。サブスク隆盛の時代に広島のイオンシネマは朝から想像以上に賑わっていた。23年に公開された前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は興行収入45億円を突破し社会現象にもなった。
今作は待望の続編であり、完結編。SF、恋愛…若者ウケしそうな要素もあるけれど、切なすぎるラブストーリーのベースに「特攻」がある以上、胸がしめつけられる。戦争と聞けばそれだけで敬遠する層にも、是非見てもらいたい作品。ネタばらしは控えるが、心打たれたシーンを挙げるなら…
南海に散った特攻隊員が恋人に「読んでほしい」と遺した本がニーチェの哲学書。鉛筆でマーキングしてあったくだりは隊員が心の支えとし、物語に影響を与えたこんな言葉である。
「世界には、きみ以外には誰も進めない道がある。その道はどこに行くのか問うてはならない。ひたすら進め」
映画を見終えマツダスタジアムへの道すがら、これを反芻した。今では当たり前のことが許されなかった80余年前。人を愛することも、夢に没頭することも叶わなかった。作品が自己肯定感を高めてくれた気がしている。
かつて広島駐在で取材した者として毎年TCの優勝争いを望んでいる。勝ち負けは当然大事だけど、目の前のことに全力で向かう姿勢はもっと尊い。好きなことに没頭できる幸せを噛みしめれば…。自戒を込めて。=敬称略=
