コラムの筆が向かう先
【8月16日】
大山悠輔に「おめでとう」といえば「なんのことですか?」と返されそうだ。8年連続100安打、おめでとう…いや、本人に直接伝えていない。全く気にしていない数字だろうから。
それでも僕は素晴らしい功績だと思う。どんな数字も健康でカラダが強くなければ「続ける」ことは叶わない。そして何よりも称えたいのは今年の100安打目が、この大事なゲームをモノにする一打になったことである。
1点リードの七回だ。
先頭大山はカウント1-1からセンターへはじき返した。たまたまセンターへ…ではない。この試合、このイニング、この点差を強く意識したうえで自分がやるべきことに集中し、コンパクトに打った結果があの一打だったように思う。あえて書くなら、この「大山のチーム打撃」に引っ張られた前川右京がそれに倣うような一打、右前打で無死一、三塁。チャンスを広げた。
さて、この戦況で坂本誠志郎はどんな頭で打席に臨んだのか。本人のコメントは虎番の記事を読んでもらうとして、きっと「ゲッツーでも1点」…ではなかったか。その結果、あのコンパクトな打撃がセンターへの値千金のタイムリーを生んだ。「大山-前川-坂本」の渋い3単打が第3ラウンドを制した肝。連敗を阻止する殊勲の3連打になった。そんなふうに映る。
阪神を軸足に書く僕は、関西を離れれば、その土地のブロック紙を買うようにしている。広島なら中国新聞。デイリーの広島支社に駐在した20余年前に購読していたので紙面構成の風味は懐かしい。コラムニストとして同紙に期待するのは地元ネタだが、この日の朝刊で目に付いたのは、地域問わず社会病理となっている「ゲーム行動症」の話題だ。聞き慣れた言葉でいえば、「ゲーム依存」「ネット依存」。
世界中で社会化したことでWHOが19年に「新たな依存症」として認定したそうだが、10~29歳の世代で、それによって日常生活が困難になる「行動症」を患う人は全体の10・3%に上るそうだ。「日常生活よりゲームやネットを優先する」ことで健康被害に繋がる問題も生じる。他人事じゃない。
なんでこんな話を書くかといえば、決してプロ野球から遠いネタではないと感じるからだ。ネットの「行動症」といえば、相変わらず球界でも選手や指導者への罵詈雑言が飛んでいる。
阪神界隈でも、連敗を二つすれば醜い類いが飛ぶ。首位でっせ?
今回の遠征で毎朝中国新聞を読んでいたが、楽しみにするのは「球炎」というコラムだ。特にカープが負けた翌朝の筆が待ち遠しい。どんな提言、激励が書いてあるのか。そこにカープ愛があるのか…という視点で。借金18を抱える新井カープをきょうはどんな視点で捉えるのか。
さて藤川阪神は、故障離脱など昨年比で諸々のマイナス要素を抱えながら、8月の半ばを過ぎてマジック点灯が見えてきた。それでもSNSで中傷が飛ぶとすれば、その「病巣」も十分取材対象になる。勝っても負けても当欄は健康を呼ぶ筆でいたい。=敬称略=
