おでんにしみる競輪愛 うまい酒、うまい肴と…道頓堀「たこ梅本店」

 大の競輪ファン和田訓行店長。「鍋前は譲らない」
 秘伝のだしがしみこんだおでん
2枚

 4月、一段とパワーアップして新企画が始まる。タイトルは「おやじ記者チコちゃんが行く!」。大いに飲んで食って、ときに“打つ”のはおやじのたしなみ。打つことに関連した飲み屋などを紹介する。最初に向かったのは大阪・道頓堀にある日本一古いという、おでん屋「たこ梅本店」だ。なんでそんな老舗に?意外や意外、ここに“競輪愛”に満ちた店長がいた。

 「たこ梅」と言えば、本格的な「関東煮(おでん)」と「たこ甘露煮」が名物。創業は「令和」からさかのぼること175年前の弘化元年という大阪を代表する老舗の一つだ。

 店構えからして風格たっぷり。のれんは右から読んで「たこ梅」。若者と外国人さんに告ぐ。決して「梅こた」ではない。中に入ると、これが年季を感じさせてくれる。コの字になったカウンター。中央に置かれた具だくさんの鍋からは、おいしそうに湯気が立ち上っているではないか。

 まずは瓶ビールで喉を潤し、お約束の「たこ甘露煮」と「さえずり」を注文した。甘露煮は創業当時からの変わらぬメニュー。さえずりは鯨の舌のことで、実はこの店の登録商標だそう。独特の食感で、どちらもうまい!なるほど、織田作之助をはじめ、池波正太郎、檀一雄、開高健らそうそうたる文人に愛されたのも分かる。

 その後は大根、ひろうす、わかめと注文したが、どれもこれも絶品だ。おいしさの決め手はだし。昆布ではなくかつお節からとり、薄口で少し甘め。これに鯨から出るだしがブレンドされ、キリリと辛めのからしと程よくマッチする。

 「だしは毎日毎日、つぎ足してます。もちろん秘伝ですよ」

 最前線で手際よく注文をさばく和田訓行店長(43)は大の競輪ファン。「鍋前はだれにも譲らない、徹底先行型です」と笑う。確かに、一段高い奥の部屋には“魂の走り”村上義弘選手らの競輪グッズがさりげなく並べられ、G1馬ダノンプレミアムの写真も飾られていた。

 和田店長は「馬主さんも来られますし、競輪以外にもボートレーサーやプロ雀士も来店してもらってます。王者(松井繁選手)にもぜひ来てほしいですね」

 守備範囲は広いが、趣味が高じてセットメニューを競輪のように「A級」「S級」「S級S班」とランク分け。例えば最高級の「SS」は鯨のすじ、さえずり、コロ、甘露煮で2754円となっている。

 「競輪にハマったのは村上義弘さんの走りにひと目ぼれしてから。佐藤慎太郎さんの人柄も大好きですよ」

 うらやましいことに車券も上手。今年のG3奈良記念開催中には3連単85万車券をゲットしたとか。その一方で、美人雀士と名高い宮内こずえさんの大ファン。「あの強気な雀風がいい。夢は“たこ梅カップ”を開催することです」

 老舗の大看板を守りながら、少しずつ変化をつけたいと和田店長。しばらくは徹底先行型でたこ梅を引っ張っていく。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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