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かつてのライバルの孫でクラシックへ 血のロマン 青葉賞は青春の「青、赤袖、白三本輪」に熱視線

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 「青葉賞・G2」(26日、東京)

 若き日の私は、87年の牡馬クラシック戦線に熱狂していた。サクラスターオーやメリーナイス、マティリアルらが活躍していたあの世代で、私は無冠に終わったゴールドシチーがお気に入りだった。尾花栗毛の派手な馬で、いまだにあの馬以上にきれいな馬に出会ったことはありません。

 その後、縁あって栗東トレセンで働けることになり、ゴールドシチーが所属していた清水出美厩舎の市丸さんの家に招かれた時のこと。玄関に入ると真っ先に目に入ったのが、何とゴールドシチーの阪神3歳S優勝記念パネルだった。興奮した私の姿を見て、市丸さんは「そんなにファンだったの?(笑)それならあげるよ」と、うれしいひと言が-。そのパネルは今でも私の宝物だ。

 前置きが長くなってしまったが、ここからが本題。その後、長く勤めた栗東から美浦へ異動した際に、栗東・藤原厩舎の久保敏也助手に紹介してもらったのが、相沢厩舎の永田正徳厩務員だ。昨春、美浦のイロハを教えてくれるベテランから「今2歳を担当している。血統?オヤジはもう種馬をやっていないみたいだけどな。でも、攻め馬の動きはなかなかいいぞ」と教えてもらったのが、青葉賞に出走するスワローシチー(牡3歳)だ。

 世話になっている永田さんが、若き日の私が熱狂した「青、赤袖、白三本輪」の勝負服で戦うとあって、希少なミッキースワロー産駒をデビュー前から追い続けてきた。しばらく惜敗が続いたものの、7戦目の初勝利は中山芝2000メートルを1分59秒7の好時計で快勝。父に産駒のJRA初勝利をプレゼントし、素質の片りんを示した。

 前走は果敢に皐月賞トライアルのスプリングSに挑戦。5着に敗れて1冠目出走の夢は途絶えたが、相沢師は「発馬の後手が痛かった。まともなら際どい勝負になっていた」と、かなりの悔しがりよう。その際に次走の見通しを聞くと「自己条件を勝ってもダービーには出られない。青葉賞へ行こうと思っている」と頂上決戦への執念を燃やしていた。

 実は私、地味でしかないと思っていた血統表を見て気付いてしまった。祖母の欄には英語で“Stinger”。つまりこの馬の祖母は98年阪神3歳牝馬Sを制したスティンガーだ。母スコルピオンキッスを米国で産んだため英語表記となっているが、紛れもなく99年牝馬クラシックをにぎわせたあの名牝だ。

 99年と言えば、開業2年目の相沢師がオークス(ウメノファイバー)でG1初制覇を飾った年。もしやと思って管理するに至った経緯を聞くと、師は「実はそうなんだ。血統は決め手の一つ。スティンガーとはライバル関係にあったからね。あのスティンガーの孫なら会員さんも集まると思って」とほほ笑んでいた。

 かつてのライバルの孫でクラシックへ-。こういうロマンを味わえるのも競馬の醍醐味(だいごみ)の一つだ。「友駿ホースクラブさんとは開業の頃からの付き合い。カミイ(スタット)さんとも長くてね。あそこは昔からいい馬を出すんだ。この馬も体つきが良くて気に入った。これまで結構強い馬たちと戦ってきたし、重賞でもやれると思っている。また田辺も乗ってくれるし、頑張りたいね」。老舗クラブ、牧場、厩舎の挑戦を応援したい。(デイリースポーツ・松浦孝司)

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