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社長挨拶

 2021年4月、新型コロナウイルス。文章を書いている時点ではまだ、終息の見通しは立っていません。デイリースポーツは今年も、フレッシュな新入社員を迎えました。これまでに経験したことのない厳しい環境の中で、デイリーで働くことを目指してくれました。こんなときだからこそ、デイリーで働く意味を改めて、感じて欲しい。社会に、人々に、どんな貢献ができるのか。あらゆる分野で働く人たちがいま、見詰め直しています。働き方改革ではなく、働くことそのものの意味が、問われているのです。

 幕末の志士、高杉晋作が残したとされる句が好きです。「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」。野村望東尼が加えたとされる下の句がポイントで、世の中おもしろく生きるかどうかは、自分の気持ちの持ちようであるとわたしは、解釈しています。辛いこと、悲しいこと、苦しいこと、人生はいいことばかりではありません。しかし同じくらい、いやそれ以上に楽しいこと、うれしいこと、そして面白いことがあります。コロナに苦しめられている今は、おもしろきこともなき世、なのかもしれません。だからこそ、おもしろく生きよう。自らその気持ちを持とう。そして私たちデイリースポーツで働くものは、少しでもそのお手伝いをしよう。そう考えよう。 

 2020年の11月、マリナーズのイチローさんと直接話す機会がありました。野球のこと、打撃のこと、メジャーと日本の違い、将来のこと、いろいろとイチローさんの口から聞くことができました。印象に残っていることが二つあります。一つは「プロ野球選手とメディアの皆さんと常に、緊張感のある関係でいたい。それがお互いを高めることにつながるからです。担当記者と慣れ合いで仲良くしようとは思わない」。もう一つは「今のメジャーは面白くない。遠くへ飛ばす、速い球を投げる、単なるコンテストをしているだけ。野球じゃない。本当の野球は日本の高校野球にある」。イチローさんの言おうとしていることは、それぞれで考えてください。現役引退したイチローさんがこれからやりたいことのひとつが、高校野球の指導です。実現しました。

 デイリースポーツにとって創刊73年目の船出となります。支えていただいた関係者、読者に心より感謝申し上げます。日本全国で2番目、西日本エリアでは最初の日刊スポーツ新聞として、1948年8月1日に神戸で産声を挙げました。創刊当時の様子を、社史では以下のように書いています。

 「神戸駅から西へ、新開地の焼け跡に米進駐軍のキャンプが建った。キャッチボールを楽しむ兵士たちの姿が見えた。彼らが持ち込んだものは、ラッキーストライクのデザインと香り、スイングジャズにスポーツ。すべてを楽しむといった自由の享受である」

 戦後間もない昭和23年。神戸新聞の社員たちが見た進駐軍キャンプが、デイリースポーツの創刊を決意させた。デイリースポーツとは、スポーツ新聞とはという問いかけに、わたしはこの風景を思い浮かべる。スポーツに宿る精神とは、自由である。最大限の肉体表現を求め、人の持つ可能性を精神の極限で発揮する。その美しさと喜びを、読者に伝えたい。

 「デイリースポーツは、阪神が勝ったら題字がトラのしっぽになるんでしょ」と言われます。その通りです。デイリーを発行する神戸新聞社の初代社長・松方幸次郎は、阪神タイガース初代オーナー・松方正雄の兄です。デイリーとタイガースはつまり、親戚のような関係。デイリーが阪神報道でトップランナーを目指すのには、そんなきっかけがある。

  矢野監督は就任3年目の2021年はチームスローガンに「挑 超 頂 !」と掲げました。デイリースポーツも同じスタンスで2021年のチャレンジをします。現状にとどまらず、紙面とデジタル発信で挑み、超えて、頂点を目指します。元気に明るく楽しく、きょうのそしてあすへの糧となるコンテンツをお届けします。生きた情報、足で稼ぐ取材、心の触れ合いによって得た情報こそ、デイリースポーツとして発信する価値のあるものです。取材記者だけではなく見出しを付けて紙面をレイアウトする編集担当、デジタル発信をする担当、広告事業担当、販売担当、デイリースポーツにかかわるすべての人間には常に、自らを律し鍛えることを求めます。見たもの、聞いたことに対する感性こそが、読者の要求に応えられる原動力です。

2021年4月

デイリースポーツ代表取締役社長 改発博明