「競輪祭・Ｇ１」（２４日、小倉）

　阿部拓真（３５）＝宮城・１０７期・Ｓ１＝が吉田拓矢（茨城）マークから最終３角過ぎで切り替え、直線で差し脚を伸ばして優勝。Ｇ１初決勝で優勝を果たし、賞金５０９０万円（副賞含む）とＫＥＩＲＩＮグランプリ２０２５（１２月３０日・平塚）の切符を手に入れた。２着は荒井崇博（長崎）、３着に松井宏佑（神奈川）が入り、３連単は最低５０４番人気の３５万９９０円と大波乱の結果となった。

　今開催のラッキーボーイがニューヒーローまで上り詰めた。Ｇ１初決勝で見事に優勝した阿部拓自身が「マジ？これマジ？って感じ。実感なんてない。マジ？って感じです」と驚きを隠せないＧ１初優勝となった。

　同期の吉田に前を任せた決勝。吉田は３番手の位置からレースを進め、後ろ攻めだった松井が動いて順番が変わっていったが、吉田もきっちり前へ動き、最終的に３番手を確保して最終２角過ぎからスパート。「掛かりがすごかった。荒井さんが前に踏んだのが見えて、そこにスイッチしたけど、内から（山田英）来て、なんとかしのいで…。まさか差すとは」と混戦となった最終３角から４角の攻防をしのいで直線に向き、最後は荒井を差し切り先頭でゴール。「差したのは分かった」とゴール後はガッツポーズで声援に応えた。

　今年だけで６回の落車。そして今開催はＳ級１班への点数が掛かるシリーズでもあったが、そんな不安は何のその。単騎だった２次予選、準決では持ち前の勝負勘を生かした位置取りと走りでクリアすると、決勝では大仕事をやってのけた。ツキも味方に付けながら、一気にＳ級Ｓ班の地位まで射止めた。

　同期の新山響平（青森）が今開催でＳ班から陥落が決定。北日本からＳ班がいなくなるピンチだったが、阿部拓がそのバトンを受け取る形になった。これから年末の大一番であるグランプリ、そしてＳ班の象徴である赤いレーサーパンツを履いてバンクを駆ける。「（Ｓ班について）何も考えられないです。決まっちゃったんで頑張るしかない。準備もできていないけど、自分らしく気負うことなく頑張りたい」と腰を据えてまずは年末の平塚へ向かう。