【競輪】スケートの元五輪選手でガールズ1期生の渡辺ゆかりが現役続行へ勝負駆け
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ガールズケイリン1期生の渡辺ゆかり(44)=山梨・102期・L1=が、がけっぷちに追い込まれている。
競輪界は半年に1回、成績下位の選手が強制引退(登録審査制度)があり、ガールズケイリンも半年に1回、成績下位の選手3人がクビになる。
渡辺はここ数年、成績不振が続いている。今年も決勝進出は2月前橋の一度だけ。このままだと今期限りで選手生活が終わってしまう。
ただ、追い込まれた状況でも目は輝きを失っていない。「ここ数年はガールズケイリンで落車した影響の蓄積で古傷の痛みが出ていた。選手になってから右肩を5回脱臼。左肩も打っている。肩周りの動きが硬くなり、体のしなりを使えなくなっていた。でも、このまま終わりたくないと思って、昔お世話になっていたトレーナーに体を見てもらうようになりました。少しだけど、良くなっているような感じはある。今からいきなり急成長は無理だけど、アスリート人生を賭けて頑張っていきたい」と現役続行への思いを語ってくれた。
11月9日からは地元弥彦での出走が控えている(※山梨県の選手は新潟支部。弥彦は地元戦)。一つでもいい着順を取って競走得点を上げていくしかない。
渡辺は北海道稚内市の出身。「稚内は25度以上になることはない。暑い時季は苦手だけど、寒くなるこれからの時期は得意」とまだまだ諦めている様子はない。スピードスケートで2回のオリンピック出場(2002年ソルトレークシティー、06年トリノ)があるトップアスリート。ガールズケイリンでも1期生としても優勝が3回、ガールズケイリンコレクションにも出場(13年6月前橋・3着)とガールズケイリン創世期を支えた功労者だ。近年のガールズケイリンは落車などの影響により欠場が増えているが、欠車が生じる時には嫌な顔ひとつもせず、追加や補充にも応じてガールズケイリンを盛り上げてきた。
これはガールズケイリン初期に開催日数が少ない時代を過ごしてきた彼女だからこそ思うところがあるのだろう。生き残りへのサバイバルレースはまだまだこれから。トレーニングの成果を発揮して、来年以降も現役生活を続けてほしい。そして若手選手の手本となってもらいたい。(関東競輪担当・松本直)




