「ドジャース６－５ブレーブス」（２日、ロサンゼルス）

　ドジャースの大谷翔平投手（３０）が同点の九回に自身２度目のサヨナラ本塁打を放ち、チームを開幕８連勝に導いた。５試合ぶりの３号ソロを含む今季初の３安打固め打ち。自身のボブルヘッド人形が配布された試合で千両役者ぶりを発揮し、本拠地を熱狂させた。

　ヘルメットを脱ぎ捨て歓喜の輪の中に飛び込んだ。手荒い“ペットボトル・シャワー”を浴び、髪から水をしたたらせた大谷が極上の笑顔を輝かせた。見る者の心を揺さぶった完璧な一振り。本塁で待つ仲間たち、そして、総立ちで声援を送ってくれたファンとともに感情を爆発させた。

　打たねばならない理由があった。昨季のＭＶＰ受賞を記念して作製されたボブルヘッド人形が入場者全員に配布された「オオタニ・デー」。クライマックスは同点で迎えた九回だ。集中力を高めていたネクストサークルでスタンドからの声が鼓膜に響いた。

　「ボブルヘッド・デーなんだからホームラン打てよ！」

　エンゼルス時代の同僚右腕イグレシアスの初球だった。外角チェンジアップにバット一閃（いっせん）。「まだ何を打ったか分かってない。それくらい自然に反応できているということじゃないかなと思います」と振り返る。「シンプルに甘い球を（振る）」。好球必打を実践し、最高の結果を出した。

　「翔平らしい最後だったね。ボブルヘッド人形の日をサヨナラ弾で締めくくる。これ以上のものはないよ」。記者会見場でロバーツ監督が感嘆の声を上げれば、八回に殊勲の同点適時二塁打を放ったマンシーは「もう衝撃を受けることはないけども、やっぱり彼がやることはショッキングだ。でも、予想した通りって感じだよ」と言った。

　現在、メジャーでは従来のバットより飛距離が出ると言われているミートポイントが大きい「トルピード（魚雷型）バット」が話題を集めている。大谷は「最初から（使う）可能性を排除することはない」と含みを持たせながら、「今のバットに十分満足している」と現時点では変更する考えがないことを明かした。

　開幕８連勝。１９３３年のヤンキースが持っていた前年優勝球団による連勝記録を９２年ぶりに塗り替えるとともに、ド軍球団記録の１０連勝にあと２に迫った。８試合のうち６試合が逆転勝ち。「本当にいい雰囲気。後半の逆転も多いですし、その雰囲気が次の日、次の日につながっている」。実感しているのは信頼関係の強さ。大谷がチームとともに連勝街道を突き進む。