【ヤング】木下栞チームを束ねる剛力彩芽似DF
日テレのチームメートから「最近テレビ出すぎだよ!」とイジられる。女優・剛力彩芽似のヤングなでしこ…大会前から徐々に浸透してきたネーミングにDF木下栞(20)=日テレ=は「似てませんよ!」と恐縮するが、ネット投票では「似てる」が70%を超えている。
人気の癒やし顔とは真逆のスピリッツが宿ったのは1年前。クラブで攻撃的MFから最終ラインにコンバートされた際、代表不動のセンターバック岩清水梓から「抜かれたら後ろはゴールしかない。死ぬ気でいけ!」と叱咤(しった)され、球際への意識が変わった。
尊敬する先輩の精神はU-20代表でも継承する。「このチームはすごく仲がいいけど、仲がいいだけじゃ、勝てない。仲の良さをピッチ上のコミュニケーションに還元できれば、もっといいチームになる」。最年長として、時に厳しくチームを束ねる役回りを担う。
2年前に佐々木則夫監督が率いた代表チームでU-20W杯ドイツ大会に出場し、初めて「世界」を経験した。出場機会は1次リーグ最終戦のロスタイム2分のみだったが、同大会で主力を張った同級生FW岩渕真奈(19)=日テレ=をベンチで見つめながら、次回開催で活躍する自身の姿を思い描いた。
「2年後は2人でピッチに立とう」。同大会後、岩渕との合言葉がモチベーションになった。結局、フル代表としてロンドン五輪を戦った同世代のエースFWは今大会を回避。木下は「一緒にやりたかった」と残念がったが、「前回は出場できなかった思いが強い。今回は優勝するためにその思いをぶつけたい」。
ロンドンのピッチを駆ける岩渕を誇りに感じた。「友だちとしても仲間としても一番の存在。サッカーをやめたいこともあったけど、彼女の励ましは大きかった」。なでしこジャパンが果たせなかった頂点の輝き。夢は、大親友に「世界一」を報告することだ。
◇ ◇
木下 栞(きのした・しおり)1992年8月17日、堺市生まれ。小学2年時に神奈川県鎌倉市の関谷SCでサッカーを始め、中学進学と同時に日テレメニーナ入団。佐々木則夫監督が率いた前回大会(ドイツ)の10年U-20女子W杯は控えで出場した。165センチ、54キロ。