【谷佳知氏の眼】究極の打撃技術が詰まった大谷翔平の一発 こんなにすごい打者は今後MLBでも現れないのでは

 「カブス3-6ドジャース」(19日、東京ドーム)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)がカブス戦に「1番・指名打者」で出場し、五回に右中間へ今季1号ソロ本塁打を放った。日本での大リーグ公式戦で本塁打を放った日本選手は、2004年ヤンキースの松井秀喜以来のこと。鮮やかな凱旋アーチで、日本中の期待に応えた。谷佳知氏は「打者にとって究極レベルの技術が詰まっていた」と絶賛した。

  ◇  ◇

 大谷が放った本塁打には、打者にとって究極レベルの技術が詰まっていた。

 常々、配球を読むのがうまいという印象を持っていたが、五回1死の第3打席はまさにそれを感じさせた。

 4球目のスライダーが低めに外れてカウント2-2。3点リードの展開で無走者。真っすぐ一本に絞ってもいい条件がそろっていた状況で、5球目の真ん中低め159キロをものの見事に捉えた。配球を読み切った時の迷いのなさ、思い切りの良さは大谷の特徴の一つだと思う。

 スイング自体もこれぞ最高峰といえるものであった。

 まずはスイングスピードの速さ。手元まで引きつけても一瞬で打ち返せるスイングの速さは両チームの選手の中でもずぬけている。さらに投球の軌道にバットを合わせてコンタクトする能力も抜群に高い。そして長距離ヒッター特有の打球角度。どの高さにきても、ボールの下をたたいて打球にいい角度を付けられる。これらのすべての要素が高次元で合わさったアーチであった。

 大谷の打席を見ていると苦手な球、コースがないような印象を受ける。投手とすればここに投げれば高い確率で打ち取れる、という弱点らしい弱点が見当たらない。こんなにすごい打者はもう今後、MLBでも現れないのではないかとさえ思う。

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