「ボクシング・ＷＢＣ世界ミニマム級タイトルマッチ」（３０日、愛知県国際展示場）

　前王者の重岡優大（２７）＝ワタナベ＝は、王者メルビン・ジェルサレム（３１）＝フィリピン＝に挑戦し、０－３で判定負けした。昨年３月に王座陥落となった因縁の相手との１年ぶりのリマッチだったが、雪辱はならず、引き揚げる際には涙。３回に右の強打を食らった際、右目の眼窩底を骨折した可能性もあるといい、試合後は病院に直行。「（相手が）二重に見えた。そこで全部終わったっす。わけがわからなくなった」と明かした。

　１年越しの返り咲きを期した重岡だったが、またも辛酸をなめた。「弱かったな、俺」。王者からプレッシャーを掛けられ、なかなか手を出せなかったが、３回に右の強打を被弾した際、右目の視界がおかしくなったという。

　控え室では右目をアイシングしながら振り返り、「１、２ラウンド目でこんなもんかと、いけると思ったが、一発もらったら破壊力がヤバかった。完全に二重になって、あ、眼窩底（の負傷）だなとわかって。（二重になったのが）横じゃなく、縦だったので、わけがわからなくなった。パンチが見えないというより、どこにいるかわからない感じで、パンチを当てられる気がしなかった」と肩を落とした。

　以降も試合を投げずにファイティングポーズを取ったが、突破口は見いだせなかった。「諦めてはなかったっす。負けてたまるかと、最後まで諦めなかったところが唯一成長できたところ」と声を絞り出し、「（相手が）強かった。完敗」と認めるしかなかった。

　今後については「（階級を）上げるしかない。引退はしないでしょう。今、この間（負けた時）より悔しくないのが、（自分に）悔しいっす。やることはやってきたので」と悔しさをかみ殺していた。

　◆重岡優大（しげおか・ゆうだい）１９９７年４月１６日、熊本市出身。１９年にプロデビューした。２１年に日本ユース・ライトフライ級王者となり、同年にＷＢＯアジアパシフィック・ミニマム級王座、２２年には日本同級王者を獲得。２３年４月にＷＢＣ世界同級暫定王者となり、同年１０月には正規王者パンヤ・プラダブシーを破って王座を統一した。昨年３月、２度目の防衛に失敗して王座陥落。弟は元ＩＢＦ世界ミニマム級王者の重岡銀次朗（ワタナベ）。左ボクサーファイター。身長１６０センチ。