不慮の事故で愛犬を失ったが、保護した子猫の可愛さに犬派から猫派に!「心にあいていた穴を子猫が埋めてくれた」長崎・佐世保の染物店

漁業や造船業が盛んな長崎県佐世保市相浦町にある明治35年創業の「(有)川口家染工場」(代表・川口直一郎さん)。現在では少なくなった伝統の本染め技法を用いて、色鮮やかな大漁旗や幟(のぼり)、幕、暖簾(のれん)などを制作している。

工場から離れた所にある事務所兼店舗には、茶トラの「ワサビ」(オス、推定9歳)、サビ柄の「ツクネ」(メス、推定8歳)、ともにサバ白の「ねずみ」(オス)と「チクワ」(メス、いずれも推定6歳)兄妹の計4匹の看板猫たちがくつろいでいる。元々は犬派だったという川口家だが、今では猫なしでは生きていけなくなったそう。5代目で営業部長の川口直人さん(40)と母親の克美さんに、猫たちがやってきた経緯などを聞いた。

■娘がバイト先で保護した子猫が可愛すぎた!

直人さん 最初に我が家にやってきたのは4匹の中で最年長の茶トラのワサビです。9年前に妹(長女)が佐世保市内のバイト先で保護し、家に連れ帰ってきたんです。まだ生後2ヶ月くらいでした。

母・克美さん 実は私、猫は大嫌いだったんです。ひっかくし痛いという先入観があって、触ることさえできませんでした。長女がバイト先で子猫を見つけ、「預かってくれる人がいないから、一晩だけ連れて帰ってもいい?」というので、渋々受け入れたんですよ。

克美さん だけど、その子猫があまりにも可愛いくて。翌朝、近所のホームセンターが開店するやいなや、トイレや砂などの猫セットを一式買いに走りました。自分でも信じられませんが、たちまち猫派になってしまったんです(笑)

直人さん その後、母の不動産屋さんの知人から、里親が見つからない野良の子猫がいるからとツクネ、その次にねずみとチクワの兄妹を引き取り、計4匹に。うちは元々犬派だったのに、僕も含めてすっかり猫の魅力に取り憑かれ、猫なしでは生きていけないほどになってしまいました。

克美さん もう20年ほど前のこと。当時、可愛がっていたヨークシャーテリアの愛犬「トミー」(オス、7歳で没)を不慮の事故で失いました。車に轢かれてしまって…やんちゃな子だったんですが、家族みんなでトミーを可愛がっていただけに、私は号泣し、それから長い間、ペットロスに陥りました。

克美さん 日々の忙しさで寂しい思いを紛らわせていたのですが、ふと思い出して涙がこみあげるときもありました。トミーが亡くなって10年ほどの月日が経ったころ、長女が連れ帰ってきたのが子猫のワサビでした。今から思うと、トミーを失ってずっとぽっかりと空き続けていた心の穴を、まだ幼かったワサビが埋めてくれたのかもしれません。

直人さん 4匹はみんな人なつこくて、いまではお客さんとここで話をしているときも、脚に頭をヌルっとこすりつけたり、机の上でゴロンとお腹をみせてみたり(笑)。おかげで場が和み、商談も円滑にすすみます。猫たちの癒しを糧に、商売繁盛や安全、健康を願うお客さまの気持ちに寄り添った商品を、これからも心を込めて作っていきたいです。

【会社名】「川口家染工場」

【住所】長崎県佐世保市相浦町33(事務所、店舗)

(まいどなニュース特約・西松 宏)

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