阪神・工藤の覚醒 育成入団から早期支配下勝ち取れた理由とは
阪神育成ドラフト1位・工藤泰成投手(23)=四国ILp徳島=がブルペンに新風を吹き込んでいる。最速159キロの剛腕はキャンプ、オープン戦とアピールを続け、3月7日に支配下登録。球団育成新人初の開幕1軍を果たした。ここまで4試合に投げ、6日・巨人戦(東京ド)ではプロ初ホールドを記録。育成入団のワケ、早期支配下を勝ち取れた理由に迫った。
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工藤の名前がコールされるだけで、スタンドがドッと沸く。6日の巨人戦は1-0の六回2死一、三塁のピンチで登板。5番・甲斐をフォークで空振り三振に斬り、プロ初ホールドを記録した。
これほどの逸材がなぜ育成入団だったのか。球団関係者によると、四国ILp徳島時代は、制球にバラツキがあり、変化球の精度もいまひとつだったことが理由。先発では五回まで100球近く球数がかさんだという。
覚醒のきっかけは春季キャンプにあった。2月8、9日に行われた宜野座組と具志川組の合同紅白戦。登板はなかったものの同行していた工藤はブルペン入り。その時のピッチングを金村投手コーチは「構えからガチガチで、ずっと力が入りっぱなしだった」と苦笑いで振り返る。「おなかに力を入れて肩の力を抜きなよ」と助言を送り、キャッチボールから意識するように伝えたという。
「優(岩崎)も同じことを思ってたみたいで、アドバイスしたと言っていた。彼(工藤)も『これでいいんだ』とつかんでくれたんだと思う」
具志川に戻った工藤は岩崎とのキャッチボールで重要性を再認識。「やり方を意識するようになりました」。ショートスローも取り入れ、リリースの瞬間に力を入れる脱力投法の習得に励んだ。
工藤が次に宜野座にやってきたのは2月16日・広島との練習試合。最速158キロで度肝を抜き、1回1安打無失点の鮮烈デビューを飾った。前回と見違えるような姿に金村コーチは「コントロールも変化球もいい」と驚きを隠さなかった。短期間でドラフト前の評価を一変させた剛腕は、支配下を勝ち取り、球団育成新人初となる開幕1軍メンバー入りを果たした。
「ピンチの場面でも出せるし、1イニングも任せられる」。金村コーチが青写真を描いていたように、今やブルペンに欠かせぬピースとなっている。160キロ到達も現実味たっぷりの剛腕はまだまだ進化の途中だ。(デイリースポーツ・杉原史恭)
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