なぜ温泉地でプリンが売られているの?発祥は?ブームの火付け役は?ご当地グルメの専門家に聞いてみた

 観光シーズンが到来!寒くなってくると温泉が楽しい季節です。温泉地の楽しみの一つと言えばグルメですが、なかでもいま、プリンが定番の温泉スイーツとなっています。

 岐阜県の下呂温泉にある“下呂プリン”、石川県の加賀温泉郷にある“かがの湯プリン”など、味にこだわりがあることはもちろん、デザイン性が高いことも特徴です。いま、どうして温泉でプリンなのでしょうか。全国のプリンを集めたイベント「プリン博覧会」を開催するご当地グルメ研究会代表の松本学さんに話を聞きました。

 「今は温泉プリンブームにあるといえます。温泉の蒸気とプリンを蒸すイメージが上手くリンクし、人気を集めています。その火付け役は静岡県の“熱海プリン”といえるでしょう」と松本さん。

 “熱海プリン”は2017年7月に静岡県の熱海温泉に生まれたプリンの専門店。大相撲の秋場所で優勝争いを演じた熱海富士の化粧まわしにデザインされたことでも、話題になりました。もともと土産物の企画や開発を手掛ける地元企業が「熱海に新名物を作りたい」という思いでお店をオープン。温泉後の定番、牛乳瓶のような昭和レトロなデザインが人気を集め、行列が絶えないほどの人気に。これからの行楽シーズンを迎えるにあたり、賞味期限はなんと10分という「生・熱海プリン」を打ち出しています。個体と液体のはざまの新食感が楽しめ、熱海プリンらしいおしゃれな見た目も特徴的です。

 一方、温泉プリンの発祥と言われる店は、大分県の別府市・明礬温泉にあります。明治8年から続く岡本屋旅館が手掛ける岡本屋売店の「地獄蒸しプリン」です。今からおよそ35年前の新商品開発の際、温泉の蒸気で肉や野菜を蒸す、別府の名物「地獄蒸し」からヒントを得て、スイーツを蒸すことを思いつき開発を進めました。

 開発期間はおよそ1年。温泉の蒸気を使って蒸しているため、温度が不安定で思ったようなプリンを作ることが難しいのですが、地獄蒸し同様、温泉に含まれる成分がプリンにも付着し、スパイスのようになっているのではないか、ということです。ほろ苦いカラメルが大人の味を演出しています。

 広報担当の方に温泉プリンブームについて元祖としての意見を伺うと「私どもがコメントをするのはおこがましいです。プリンは蒸し料理として小さいころからなじみ深いものですしね。ただ、みんな蒸すところ(調理場)は暑いよね。大変だよね。という思いですね」と笑いながら話しました。

 松本さんは「熱海プリンのヒットを受け、ここ4、5年でプリンの専門店が全国各地に増えている」と話します。「プリンは原材料が各地にある卵や牛乳のため、ご当地のものが使用でき、また、地域の果物などの農産物を取り入れやすいことも、全国に広まっている要因の一つだと言えます。年々プリンのレベルは上がり続け、現在は嗜好性が高まっていますね。どのプリンも美味しくなってきた今、外国の方にも通用する観光の一環となるのではないでしょうか」

 イギリスで原形となる料理が生まれ、江戸時代後期から明治の初期に日本に伝わったといわれているプリン。まだまだ熱気に包まれそうです。

 (デイリースポーツ特約・遠藤きほ)

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