【サッカー】J1首位町田の去年と大きく異なる強さとは 黒田体制3年目-地力の強さでさらなる進化へ
J1町田が6日の川崎戦で引き分け、大旋風を巻き起こした昨年に続いて春先に首位浮上を果たした。まだ序盤だが、J1で2年目のジンクスに陥ることなく堂々とした戦いぶりを見せている。昨年と大きく異なる強さが「交代選手の活躍」だ。第9節を終えて、途中出場選手の得点数が昨年同節の「0」→「4」と大幅増加。さらに、4点中3点が勝ち越し、または同点弾だ。黒田剛監督(54)が率いて3年目となるシーズンで、さらなる進化を遂げている。
象徴的な試合の一つが第7節の福岡戦だ。1-2とリードされた後半39分、途中出場のFW藤尾翔太を起点に、最後は同じく途中出場のMF仙頭啓矢が同点ゴールを奪い勝ち点1をつかみとった。昨季、藤尾はチーム最多の9得点を挙げ、仙頭は35試合に出場。主力メンバーだった2人だが、オフの補強の影響で今季は同戦までスタメン出場が0だった。
今季は横浜Mの日本代表FW西村拓真や福岡で4年連続34試合以上出場のMF前寛之ら多数の実力者が加入し、藤尾らが控えに回るほど選手層に厚みが増した。その他の控えメンバーも、日本代表DF望月ヘンリー海輝、元韓国代表FW羅相浩らそうそうたる顔ぶれが並ぶ。
チーム内での競争が相乗効果を生んでいる。第6節の横浜FC戦で、途中出場から決勝ゴールを奪ったプロ1年目のFW桑山侃士は紅白戦のレベルの高さにうなずく。主力組は元日本代表DF昌子源らリーグ屈指の3バックで「この環境でやれていることは、すごい自分にとって大きい」と高い刺激を受けている。仙頭は「スタメン組に勝ってやろう、僕たちの方ができるんだぞ、と。そういう思いでやってきた」とメラメラ感全開だ。
黒田監督はそういったサブ組の姿勢に目を細める。「すごくモチベーションを高く、食らいつこうという姿が他のコーチ陣からも聞き取れる」。ここまで全試合フル出場の昌子は「途中からの選手が自分のエゴを押し殺してチームのためにやってくれている。彼らの存在がめちゃくちゃ大きい」と熱く語った。
出場機会が減ってくるとモチベーションが下がると思われる。だが、町田の選手は、ふてくされず練習から決して手を抜くことがないという。その理由は黒田監督が23年の就任以来、築き上げてきた組織力の大成だ。黒田監督は「3年目にして町田の選手はこうあるべきだっていうのが選手たちもすごくよく分かってきた。精神的にすごく強いチーム・組織になった実感がある」と手応えを語る。黒田監督の下3年目を迎える藤尾は「チームのためにっていう意識は常に持っている」とキッパリ。今年は勢いだけじゃない。地力の強さが確かにある。(デイリースポーツ・松田和城)
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