【スポーツ】なぜ?青学大・原監督が世界陸上マラソン代表・吉田祐也を国内準高地で強化する理由 “原メソッド”の判断とは
青学大OBでGMOインターネットグループの吉田祐也(27)が3月26日、陸上・世界選手権(9月13日開幕、東京)のマラソン男子日本代表に選出された。大学時代から指導する原晋監督(58)は、世界陸上に向けて海外ではなく国内の準高地で強化する方針を示した。その理由に迫った。
昨年12月の福岡国際マラソンで、日本歴代3位の2時間5分16秒をマークした吉田。2020年箱根駅伝の4区で区間賞を獲得し、青学大を5度目の総合優勝に導いた主力メンバーだ。
原監督は世界選手権に向けて、吉田とすでに大舞台に向けた強化プランを共有していると明かす。国際大会前は海外で高地合宿を敢行するチームが多いが、国内の準高地にあたる長野・菅平高原を中心に調整する方針だという。
理由は単純明快。指揮官の口調はなめらかだった。「移動距離のリスクがない。飛行機に何十時間と乗って、現地の高地に行くまでには丸1日かかる。時差もある。それで体調が逆に整うのか、という話。食事も大しておいしくない。十分に国内でトレーニングをできる環境はある」
陸上に限らず競泳などを含め、国内トップ選手が海外の高地で合宿を行うことは増えている。日本より標高が高く心肺機能に負荷をかけられること、海外選手と同じ空間で練習できることなどメリットは多いが、今回の世界選手権の開催場所は東京。“原メソッド”によると長距離移動や体調管理を考慮すると、今回は国内の調整が適しているという判断だ。
また青学大としては夏合宿を菅平高原で行っており、同地で練習すれば、例年のデータから成果が判断できるメリットがあるという。箱根出場未経験のサラリーマンから指導者の道に飛び込み、青学大を8度の箱根駅伝総合Vを誇る強豪校に育て上げた名将は、「指導者として素人から始まって、ある意味、固定観念がない。トライアンドエラーを繰り返して(指導法の)メソッドを築き上げてきた」と自身の強みを分析。「国内にはおいしい食事を用意してくれる宿もある。わざわざ変える必要はない」と力強く語った。
海外調整、国内調整は一長一短。意見は分かれ続けるが、“原メソッド”で育った黒田朝日(4年)、若林宏樹(日本生命)ら箱根ランナーたちが、直近のマラソンで結果を出しているのは確かだ。18年ぶりに日本で開催される世界選手権。原監督が指導する選手に注目したい。(デイリースポーツ・谷凌弥)
◆吉田祐也(よしだ・ゆうや)1997年4月23日、埼玉県東松山市出身。東農大三高時代に全国高校駅伝への出場経験はなし。青学大に進学し、学生三大駅伝(出雲、全日本、箱根)では、4年時の箱根4区区間新記録以外に、3年時に全日本に初めて出場し5区で区間賞を獲得。24年の福岡国際マラソンを日本歴代3位の2時間5分16秒で制した。1万メートルの自己ベストは27分45秒85。164センチ、47キロ。
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