「阪神の監督」は激務過ぎる カナダ出身の虎党が「GM制復活」を熱望する理由

 阪神タイガースはレギュラーシーズンの最終盤に粘りをみせ、3位でクライマックスシリーズに進出しました。退任が決まっている矢野監督には、この勢いで何がなんでも有終の美を飾ってもらいたいです。とはいえ、次期監督についての報道を目にしてからは、来年以降のチームに目が行ってしまっている自分もいます。

 来季に向けて多くの懸念がある中、筆者が特に改善してほしいのは「監督の健康問題」です。先日、NHKの特番で矢野監督の今季がクローズアップされていました。番組を視聴して改めて感じたのは、阪神の監督は体力的にも精神的にも極めてキツイ職業だということです。眠れない日々、薬を飲んでもスッキリしない、ファンの期待に応えるプレッシャー。やっぱり、そんな状況は異常だと思う。

 星野監督は優勝した03年に健康状態の悪化で退任。別のテレビ番組では、鳥谷氏が阪神で監督をしたくない理由として「監督になるときは本当に素晴らしいくらい歓迎してくれますけど、辞めるときは、素晴らしいくらい叩かれて辞めるんですよね」と言っていました。

 阪神だけでなくNPBの監督は、MLBと比べて過酷すぎるように感じます。選手起用や采配は当然としても、それ以上に「チームの顔」にならなければならない。試合中は何度もテレビカメラに抜かれるし、毎試合取材される立場。だから広報力に長けている人材が望ましいとされる面もあります。加えて、ドラフト会議やスカウト会議、FA交渉にも出席するなど、チーム編成では自分の任期以上に長期的なビジョンを持つことも要求されます。

 これだけハードな仕事を続けていれば、体がもたないのも当然。先日調べてみたところ、長い阪神の歴史の中で、最長政権は中村勝広氏の6年間のようです。多くはその半分くらいの3、4年での交代になっています。中村氏といえば、亡くなられた2015年まではゼネラルマネージャー(GM)というポストに就かれていました。あれから阪神にはGMがいません。筆者は、そこが不思議でならないんです。

 ウィキペディアによると、MLBのGMは「さまざまな会見で積極的にメディアに登場する球団の顔でもあり、球団を統率するカリスマ性、経営感覚、契約更改やトレードにおける交渉力、選手の能力を見極める眼力、種々のデータを分析する統計学的センスなど総合的な能力が求められる」とある。つまりNPBにおける「監督の仕事」を半分以上負担してくれるんです。何でもかんでもMLBを真似すべきだとは思いません。でも、NPBの監督が背負う責任は、あまりにも重すぎる。その解決策として、GM制導入によって少しでも分担すべきだと思うのです。

 日本プロ野球でのGMの役割は、MLBほど具体的ではないと感じます。とにかく矢野監督の退任を機に、次期監督のためにも阪神にはGM制を再導入してほしい。個人的には監督時代にドラフトで大成功した金本氏を希望していますが、みなさんはどうですか?

 ◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。

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