WBC、どの国を応援すればいい? カナダ出身の阪神ファンが困惑する理由とは
阪神ファンになって随分と時間が経過しました。でも、いまだに「ファン心理」って難しい。他球団ファンも変わらないだろうけど、基本的には誰が阪神に入団しても応援する。実際にその選手に会っても仲良くなるとは限らないし、むしろ嫌いになるかもしれない。なのに、ユニホームを纏うと我らのヒーローに変身する。アメリカは特にその傾向が強くて、人気選手が移籍したらブーイングされる。愛された選手が違うユニホームを着るだけで嫌われるのです。ひょっとして我々は「ユニホーム」を応援しているのでしょうか。
阪神にとって長年のライバル関係にある読売ジャイアンツ。阪神ファンの大半は、筆者同様にアンチ巨人でしょう。でも、あのチームには関西出身者も多くて、子どもの頃に甲子園で阪神を熱く応援していた選手もいる。ドラフトの結果、たまたま“敵”のユニホームを着ているだけ。これがスポーツ応援の不思議なところの一つです。
さて、今月はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が6年ぶりに開催されます。ご存じのように侍ジャパンはNPB12球団をはじめ、メジャー組も大集結。ドリームチームの侍ジャパンを応援したい…と言いたいところですが、筆者はカナダ出身。やっぱり母国を応援しなければ!と考えた時に“あること”が頭によぎったんです。
代表チームには僕が知っている選手はほとんどいない。知っている一人はスコット・マシソン投手だけ。そう、宿敵巨人の元選手です。仮に日本vsカナダが実現したら、元巨人のマシソンと阪神・中野拓夢選手が対決する可能性だってある。WBC期間中だけ「マシソン頑張れー」って…やっぱり筆者には無理かも。逆に、いつも痛い目に遭わされている村上宗隆選手らを応援できるかというと…これも難しいなぁと感じています。結局どのユニホームを応援したらいいでしょう、私?
悩みに悩んだ末の結論は「どのチームが勝ってもOK」。大好きな野球を楽しんで、世界最高レベルのプレーで感動したい。日本の皆さんほど「日の丸」に思い入れはないので、もしも日本が負けてもそこまで悔しくないはず。ということで今回に限っては、どのユニホームの選手であっても、最高のパフォーマンスを見せてくれることを期待します。もちろん、シーズンが始まれば“阪神命”ですが。
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。