なぜ海外で「カーネルの呪い」がウケるのか? 阪神日本一で再び注目の背景 カナダ出身阪神ファンが解説
夢にまで見た阪神タイガース日本一。その余韻で12月も“お腹いっぱい”です。というのも、カナダ出身の阪神ファンである筆者には、優勝マジック点灯を契機に国内外のメディアから多くの取材依頼が舞い込んだから。そんなバタバタな毎日の中で、気付いたことがあります。それは「阪神優勝」の受け止め方が、日本と海外で異なること。国内メディアの視点では「18年ぶりの優勝」や「38年ぶりの日本一」。対して海外メディアの取材を受けると、必ずと言っていいほど「カーネルの呪い」について聞かれました。
1985年の優勝時、三冠王に輝いたバースに「似ている」という理由でカーネルサンダース人形が胴上げされ、その後に道頓堀川に投げ入れられたあの一件。翌年からチームが低迷期に突入したことで、優勝できないのは「カーネルの呪い」が理由ではないかと都市伝説になりましたよね。このエピソードは、SNSの普及で海外でも面白がられるようになり、世界の野球ファンの中でも有名な呪いの一つに発展。実際に、英語の検索サイトで「Hanshin Tigers」と入力すると、検索候補としてよく出てくるのは「Curse of the Colonel」 (カーネルの呪い)なんです。
阪神が優勝に向けて突き進む中、筆者は海外メディアから何度も「カーネルの呪いが解けそうですね」とコメントを頼まれた。先方は「日本でも騒がれているだろう」と思って質問していたようだが、ご存じのように日本で「カーネルの呪い」はほとんど話題になってなかった。では、なぜ「カーネルの呪い」が海外で注目されるのか。これには、いくつかの要素があると考えられている。
まず、米国発祥のチェーン店と米国で無名だった選手が、遠い日本で結び付いていること。そしてもう一つは「人形を川に投げ込む」という行為が、海外から見る日本のイメージと180度違うから。「おとなしくて礼儀正しい日本人が…ホントにそんなことしたの?」という感じで、非現実的に聞こえるというわけです。
個人的に残念なのは、阪神が日本一になったことで「カーネルの呪い」という海外でも通じる逸話が消えてしまいそうなこと。せっかく強いチームになったのに、阪神タイガースが注目されなくなるのはもったいない!だから海外の皆さんにお願いです。これからも阪神タイガースを応援してください!
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。