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小田穂乃実の実になる話⑬旋回癖ってな~に?

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 みなさんは回転する馬と聞いて思い浮かべる子はいますか?返し馬で登場するとくるくるくるくる…たくさんのお客さんを沸かせた“ハクサンムーン”を思い出す方が多いのではないでしょうか。馬の悪癖の一つでもある「旋回癖」について、ハクサンムーンを担当されていた櫻井吉章調教助手(西園正厩舎)にお話を聞かせていただきました。

 「『旋回癖』は主にストレスが原因で、馬房の中をぐるぐる歩き回る癖。トレセンにいるとやっぱり過度のストレスがあるんだろうね。ハクサンムーンも放牧の時に牧場に見に行ったら、回ってはいたけどずっとじゃなくて、たまに回るくらいだった。それに怖がりだったしね」。なるほど、精神的なものからくる癖なのですね。

 私は歩いて回っているのでそれほど問題はないのでは?と思っていました。しかし、実際は馬の体にもレースにも、たくさんの悪影響があるようです。「ハクサンムーンは、馬房の中では右回りだったんだけど、左脚で右の脚を踏んでケガをしてしまうリスクがある。それに、回ることで、馬房の中にあるボロを一緒にかき混ぜてしまうと、衛生的に爪にも良くないね」と、プラスになるようなことは一つもないようです。

 この癖を直すべく、あらゆる手を尽くした櫻井助手。「いろんな対策をしました。馬房内の壁全てに鏡を張って、馬がいるところを見せるとおとなしくなるかなと思ったら、逆に怒って汗をかきながら走るように…。あとは、ストレス発散用のリンゴ型のおもちゃがあるんですけど、それをたくさんつるすと、当たるのを嫌がって回らなくなるかなって思ったけど、むしろ余計に反抗して回っていました」。人間と同じで、ずっと続けてきた癖を直すのはなかなか難しいよう…。

 そして、「この子の癖に向き合うことにしました」と覚悟を決めた櫻井さん。「レース当日に、馬房内でくるくるずっと回っていたら体力を消耗してしまうので、競馬場に着いたら朝6時から馬房に付きっきりでした。一緒に馬房の中に入って、回りたくなったら一緒に2、3周回ってを競馬までの間ずっと繰り返していましたね」。レースで無事に走ることができていたのには、たくさんの努力が隠されていたようです。

 競馬場でも回転するようになったのは、13年のアイビスSDからだったそう。「馬場に入る前にごねてジョッキーを落とし、馬場でジョッキーがもう一度乗ったときに急に回り始めました。それ以来、とにかくジョッキーが鐙(あぶみ)を履くまでは、絶対に引き手を離さないように必死でした。馬房とは違って左回りでしたね。その日のテンションによって回る回数は違っていました」。ファンを魅了していたあの“くるくる”の裏側には、日々彼と向き合う関係者の方々の姿があったのです。

 「パドックで一度、前が詰まって自分のペースで歩けなくなった時に、怒ってひっくり返ってしまったことがありました。それ以来、パドックでは先頭を歩かせてもらっていました。ただ、パドックから馬場へ向かう時は最後にしてもらって、少しでも多く周回できるようにしていました」。馬房からパドック、そして馬場入りまで、全てのことがレースへとつながっていきます。

 「人間が向き合うしかない。あの経験は絶対に忘れないですね」。レースでの活躍や馬の健康にも影響を与えてしまう『旋回癖』ですが、受け入れて真剣に向き合ってきたからこそ、レースで彼の能力を最大限に引き出すことができていたのですね。

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