尊富士 春連覇見えた!美ノ海を圧倒、2敗対決制して首位並んだ 20日大の里と再び2敗対決
「大相撲春場所・11日目」(19日、エディオンアリーナ大阪)
昨年春場所を優勝した平幕の尊富士が美ノ海を突き出し、2敗対決を制した。1敗だった高安が小結霧島に押し出されたため、尊富士は賜杯争いの首位タイに浮上した。宇良を冷静にはたき込んだ大関大の里との2敗対決が12日目に組まれ、春連覇への大一番に挑む。1差で関脇大栄翔、玉鷲、美ノ海、安青錦が追う大混戦。新十両の草野(23)=伊勢ケ浜=は初日から11連勝と新記録を伸ばし、最速記録に並ぶ12日目優勝が見えてきた。
圧倒した。真っすぐ当たった尊富士は左を鎖骨下、あてがわれた右を回転させて同じく鎖骨下にあて、もろ手でひと突き。一気に美ノ海を土俵際に吹っ飛ばし、次の一発で突き出した。「集中できた。良かったです」とうなずいた。
この日の朝稽古後、照ノ富士親方(元横綱)は辛口だった。「差していくからダメ。立ち合いから押せていない」と10日目までの内容を評価。尊富士は酷評に反論するような会心の一番で、日大先輩の相撲巧者に何もさせなかった。
昨年の春場所で110年ぶりの新入幕優勝を達成。偉業を知る大阪で連日声援を受け「1年後に何もなしで終わりたくない」と覚悟を決めている。照ノ富士親方が「調子が悪いけれどあれだけ勝てる」と語る底力で7連勝。新三役昇進を目標に掲げる中、春連覇も視界に入れた。
寒暖差が大きく、体調管理が難しい季節。夜10時には就寝する。9時間近くまで睡眠を増やした。野球好きだが、前日の日本での大リーグ開幕戦は「寝てました」と見ていない。消化の良い食事を心がけ、就寝前は食べ物を口にせず、水分を多く摂取。揚げ物は食べず、大阪名物の串カツは場所前までにとどめた。
12日目は大の里との2敗対決に挑む。八角理事長(元横綱北勝海)が「尊富士がいけば、そのまま(優勝に)いきそうな気がする。安定してるね」と語る大一番だ。
相撲に対して「楽しさはない。集中して緊張感を持つ方が大事」と勝負師の心構えを説く尊富士。春連覇と新三役のダブル成就へ「明日の一番に勝てるよう、しっかり気持ちをつくりたい」と、闘志を口にした。