りくりゅう2年ぶりV フリーで今季自己ベスト!0・71差逃げ切った 木原雄たけび三浦涙、ケガ乗り越えて歓喜
「フィギュアスケート・世界選手権」(27日、ボストン)
ペアの三浦璃来(23)、木原龍一(32)組=木下グループ=が同種目で日本勢初制覇だった2023年大会以来、2年ぶり2度目の優勝を果たした。SP首位で迎えたフリーは今季自己ベストの143・22点で2位も、合計219・79点で逃げ切った。今大会は来年2月のミラノ・コルティナ五輪の予選を兼ね、日本は同種目の五輪出場枠を一つ確保。9月の最終予選(北京)で2枠目の獲得を目指す。男子SPで鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)は今季自己最高の107・09点で日本勢最高の2位につけた。2連覇を狙うイリア・マリニン(米国)が今季世界最高、世界歴代3位の110・41点でトップに立った。
わずか0・71点差で逃げ切ると、木原は雄たけびを上げ、三浦は泣いた。りくりゅうが、フリーで今季自己ベストをたたき出し、2年ぶりの優勝。三浦が「やってきたことは間違っていなかった」と胸を張れば、木原は「1度目の優勝よりも、全てのことを乗り越えてきた今回の方がうれしさは大きい」と率直に振り返った。
最終滑走で魅せた。自信にあふれた表情でリンクに立つと、冒頭のツイストリフトを完璧に決め、出来栄え点の1・38点を加えた。三浦が「小さなミスはあったけど…」と話したように、続く連続ジャンプの3回転トーループに回転不足のミスが出て減点もあったが、三つのリフトは最高難度のレベル4とし挽回。交錯する男女の思いをフラメンコの音楽に乗せて情熱的に演じ切り、三浦は「大きなミスなく終われたことが大きい」と安堵(あんど)の表情だった。
ケガを乗り越えて、再び頂点にたどり着いた。木原は腰、三浦は肩を痛め、この2年間は苦しい時間だった。今季も「やりたい滑りができない時期が続いていた」と木原。それでも持ち直し、2月の四大陸選手権で優勝した。この日、得点を待つキスアンドクライで三浦は目に涙を浮かべ「たくさんの苦労があった中で優勝できて、いろんな感情がまざっている。乗り越えられて本当に良かった」と喜びをかみしめた。
ミラノ・コルティナ五輪の日本の出場枠を一つ確保した。2019年にペアを結成し、6季目。22年の北京五輪で7位に入賞したが、表彰台には届かなかった。木原は「来年は初戦からしっかり楽しんで演技する私たちらしいスタイルを出していきたい」と意気込んだ。世界一のペアが、2人にとっては2度目となる五輪シーズンへ挑む。
◆フィギュアスケートのミラノ・コルティナ冬季五輪出場枠 男子、女子、ペア、アイスダンスのいずれも各国・地域3枠が最大。日本男女は世界選手権に各3選手が出場し、上位2人の順位合計が「13」以内なら3枠、「14~28」なら2枠を獲得する。男女は各29枠のうち24枠、ペアは19枠のうち16枠、アイスダンスは23枠のうち19枠が今大会で決定。残りは、ロシア勢も個人の中立選手(AIN)として参加する9月の最終予選(北京)で決まる。団体は12月のGPファイナル(名古屋)までの主要大会の成績で10カ国・地域が出場権を得る。
◆木原龍一(きはら・りゅういち)1992年8月22日、愛知県東海市出身。中京大中京高から中京大に進学した。11年世界ジュニア選手権男子代表。13年にペアに転向し、14年ソチ五輪は高橋成美と組んで18位、18年平昌五輪は須崎海羽とのペアで21位だった。174センチ。
◆三浦璃来(みうら・りく)2001年12月17日、兵庫県宝塚市出身。大阪・向陽台高から中京大に進学した。カナダを拠点に木原と組んで6季目。22年北京五輪で団体銀メダル、個人で日本勢初の五輪7位入賞。22~23年シーズンはGPファイナル、四大陸選手権、世界選手権を初制覇した。今季はGPファイナル2位、四大陸選手権優勝。145センチ。