工藤遥加 涙の初V プロデビュー4991日目 偉大な父・公康さん娘の重圧「自分を強くしてくれた人たちに感謝」
「女子ゴルフ・アクサ・レディース・最終日」(30日、UMKCC=パー72)
プロ野球・ソフトバンク元監督の工藤公康さん(61)を父に持つ工藤遥加(32)=加賀電子=が67で回り、通算10アンダーで悲願のツアー初優勝を挙げた。プロデビューから4991日目での初優勝はツアー2位の最長記録。勝利者インタビューでは父との思い出話を語り、ギャラリーの涙を誘った。小祝さくらが2打差の2位。開幕戦から3試合続けて最終日最終組だった菅楓華は73と落とし、通算5アンダーで6位に終わった。
工藤は大ギャラリーに囲まれた優勝インタビューで、「自分を強くしてくれた人たちに感謝したいと思います」と言いながら涙を流した。「雲の上の人」という父・公康さんとのエピソードをとつとつと語る。それを聞いたファンもハンカチで目頭を押さえた。
父との闘いは宿命だ。プロになってから、どこに行っても「あの工藤の娘」として見られる。実力以上に注目されることが大きなプレッシャーになった。260ヤードのドライバーショットを生かし切れず、勝てないまま時間が過ぎていった。
父は2021年限りでソフトバンクの監督を退いた際、妻に「次に何をやりたい」と聞かれ、紙に書いた。そこにあったのは「遥加を勝たせてあげたい」という言葉。娘は今大会直前、母がしまっているその紙を偶然見せられた。「結果が出ていない。申し訳ない」。そして、「親の愛って素晴らしい。よし、頑張ろう」と思った。
2年前のオフ、女子ソフトボール・ビックカメラ高崎の沖縄合宿に参加した。2021年東京五輪金メダルメンバーの藤田倭から「失敗するのがかっこ悪いのではなくて、チャレンジしないのがかっこ悪い」と言われた。「これがアスリートか。それまでの自分の13年間はプロではなかった。勝てなくて当然だ」。今は忙しくても1時間は走るようにしている。
1打差の3位で迎えた最終日。背負ってきた、いろんな人たちの思いが5バーディー、ボギーなしのプレーを生んだ。特にショットの切れがよく、4番でOKにつけたのをはじめ、1~2メートルにピタピタとついた。
「みんなに恩返しができました」
ツアーは20代前半の選手が主力で昨季は30代の勝利がなかった。だが、新たに生まれた32歳の優勝者は自分がベテランだとは思っていない。「自分はまだ五分咲き。目標は50歳までレギュラーツアーに出られる体力をつけること」と語った。
◆遅咲き初V 工藤は2011年8月のプロデビューから4991日目での初優勝で、ツアー2位の記録。最長は鬼沢信子の7242日(1988年のツアー制施行後)。
◇工藤遥加(くどう・はるか)1992年11月18日生まれ、埼玉県所沢市出身。171センチ、65キロ。東京・日出高卒。12歳からゴルフを始め、2011年プロテストに一発合格。今季はQTランク51位。父親はプロ野球・ソフトバンク元監督の工藤公康さん、兄は俳優の工藤阿須加。趣味は料理と兄の出ているドラマを見ること。