左かかとに乗るな=爪先めくれはNG

 3年間、ほとんど指導していなかった彼が、今年の全米アマでベスト4に進出したことは、前回、前々回にお話ししました。彼以外にも日本から何人もの学生ゴルファーがこちらに来てレッスンを受けますが、日本から来るアマチュアたちには、共通した特徴(欠点も)が見られます。そんな私の経験を、この秋の新レッスンとして何回かに分けてお届けします。

 今回は「体重移動」がテーマです。彼を全米アマ出場に近づけた、2月再開のスイング改造の第一歩は、体重移動でした。とはいってもすぐにできないので、まずは、フィニッシュ時の姿勢をチェックしました。

 見ると、彼のフィニッシュでは、左かかとサイドに体重が乗り、爪先寄りがめくれ上がる。これはパワフルなイメージこそありますが、弾道の正確性は低くなります。

 実際に、このバランスで何時間もいられますか?正確性とは、何回も同じ動作を繰り返しできて、安定感のあるバランス良いフィニッシュと切っても切れない関係にあります。いいフィニッシュをしていれば、同じクラブを打った時に、同じ方向、同じ距離になるわけですね。指導はここから始めました。

 なかなか思うようにいきませんが、やるしかないのです。難しいドリルではありません。素振りを何回も行い、フィニッシュ時の姿勢を確認して左足全体に体重が乗っていればよいのですから…。

 スイングはアドレス時、トップ時、フィニッシュ時でしか静止しているところがないのですから、その人に合った静止状態を作り上げていくことで、正しいクラブ軌道ができるのです。“静の体勢”を把握して“動の体勢=スイング”を、体に覚えさせるのです。

 その基本がないと、試合ではいろいろなライや傾斜などが加わってくるのですから、少なくとも、安定したフィニッシュの姿が必要です。ほとんどの日本からのジュニアはこの“左足爪先めくれ”が多いのですが、直した方が良いです。全米アマでコメンテーターを務めていたグレッグ・ノーマンが、松山との比較動画を見て、私と全く同じことを言っていました。

 そうです。誰が見ても同じことを思います。インパクト時の右足体重の比重が松山より多い、要するに、スイング改造のポイント“体重移動”です。

 それをどこから手をつけるか?フィニッシュ時の左足体重の足全体への乗り方なのです。左足かかとに体重が乗っていては、他の体重はどこに逃げてしまったの?になるのです。左足体重が安定したら、次は、フォロースルーの長さと方向に入ります。すると、右足に体重が残り過ぎているインパクト時から、左足に体重移動を増やし、ほどよく右足かかとが少し上がっているインパクトになります。これが、より安定した体重移動です。

 バッバ・ワトソンのような、やってはいけないことを全部やっていても、結果を出せばそれで良し-彼は努力家でセンスも持ち合わせている天才型なのですから…。

 (LPGAインストラクター・今井貞美)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

今井貞美コラム最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ゴルフ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス