【ボート】魚谷智之引退にみる“去り際の美学”

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 定年が近づくと、人生についていろいろと考える。記者もその世代であるがゆえ、ボートレースの現場でも“引退”の2文字は気になる。理由は年齢的なものだけでなく、病気やけが、成績不振などさまざまだが、去り際の心境を考えればこちらも胸が熱くなる。

 兵庫支部を代表するボートレーサーの魚谷智之選手(49)がこのほど29年7カ月の選手生活を終えた。17日に選手登録の消除願いを提出し、19日に受理され、現役引退した。SGを3回、G1を11回優勝するなど第一線で活躍してきた。ただ、ここ数年の優勝回数は21年からは4年連続で一般戦での1回ずつと厳しい戦いを強いられてきた。

 もちろん1995年5月にデビューしてからの華々しい活躍は言わずもがな。生涯獲得賞金は16億2416万6847円にも達し、一介のサラリーマンから見れば本当にうらやましい限り。50歳を前にすぱっと辞めて、第2の人生に進むことも決断も“去り際の美学”とでも言うのだろうか、マネはできないが、すごいなと感心する。

 あるボートレーサーも「子どもが卒業したら辞める。体もきついし、自分の好きなことをしたいんだ」と将来像を描いていた。学費の支払いが終えた後は、趣味である音楽を奏でながら悠々自適に過ごしていきたいのだという。

 その一方、77歳になっても走り続ける高塚清一選手(静岡)のような現役にこだわるレーサーもいる。さすがに自分も77歳まで記者は続けられないだろうが、今後予想を外しまくれば当然、“去り際”を意識せねばなるまい。それまでは必死に務めを果たしていきたい。(ボート記者コラム・中村博格)

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