元保護犬の女の子・ソルちゃんは、家族にたくさんの笑顔と温かさをもたらしています。

出会ったきっかけは、飼い主のインスタグラムユーザー・noranekogundan324さん（@noranekogundan324）家族が「犬を飼いたい」と考え始めたことがきっかけでした。

年長のお子さんが高校入学を迎えるにあたり、「迎えるなら保護犬を」と話し合っていたといいます。保護団体のサイトで偶然目に留まったのが、生後3カ月の女の子「ソル」ちゃんでした。

「サイトで見つけた瞬間、子どもたちも私も一目惚れでした。あまりの可愛さに胸が高鳴って…このまま入学まで待っていたら、きっと他の方に決まってしまうと思ったんです。これもご縁だと思い、すぐに保護団体の方に連絡しました」

その迅速な決断が実を結び、無事にトライアルがスタート。しかし、その後すぐに思わぬ壁が立ちはだかります。

■試練のトライアル期間と深まる絆

トライアルが始まって間もなく、お子さんたちにアレルギー症状が現れました。

「ソルちゃんのいない生活はもう考えられなかったので、すぐにアレルギー外来に駆け込みました。検査結果を聞くと、強い症状ではないとのことで…。お医者さんからは『気をつけながら生活していれば大丈夫でしょう』と言われて、本当にホッとしました。あのときの安心感は今でも忘れられません」

家族は慎重に生活環境を整えながら、ソルちゃんとの日々を大切に過ごしました。保護団体とも何度も話し合いを重ね、通常よりも長いトライアル期間を経て、無事に正式譲渡が決定しました。

「無事に家族になれて本当に嬉しかったです。いろいろ悩んだけれど、それ以上に喜びが大きかったですね」

■驚きと発見の日常 - ソルちゃんとの暮らし

新たな生活が始まると、ソルちゃんの個性が少しずつ明らかになりました。

「実家で犬を飼っていたので、散歩やおやつ、ドライブを楽しむ“わんこライフ”を思い描いていたんです。でもソルちゃんは散歩が大嫌いで、リードを見ただけで震えることも。おやつにはあまり関心がなく、しつけで釣ろうとしても反応が薄いんです。車も苦手で、乗るとヨダレが滝のように出て、吐いたり粗相したり…。想像していたアクティブな生活とは全然違いましたが、それもまたソルちゃんらしさなんですよね」

歯が生え変わる時期には甘噛みが強く、家族の腕や足に傷が絶えなかったこともあったそうです。

「娘の腕が傷だらけで、一時期は友だちにリストカットを疑われたこともあったんです。事情を説明して誤解を解いたそうですが、当時は本当に大変でした」

両親が野犬だったソルちゃんは、基本的に警戒心が強く臆病な性格。それでも預かりさん宅で愛情たっぷりに育てられたおかげで、人間も犬も猫も大好きな子に成長しました。散歩嫌いなのは、看板や植木鉢、ゴミ袋など見慣れない物への恐怖心からで、大好きな人や犬に会うために勇気を振り絞っているようです。

「最初は散歩に出ても立ち止まることばかりで、抱っこして移動していました。最近やっと少しずつ慣れてきて、外で排泄もできるようになったんです。ここまで来られたことが本当に嬉しいです」

車に対しては依然として苦手意識が強く、どれだけ楽しい場所へ行こうとしても乗車自体が大きなハードルに。家族の夢は、ソルちゃんの兄妹たち（7つ子）と生まれ故郷の赤城山で再会することだといいます。

「兄妹たちと生まれ故郷で集合するのが目標です。でも、まだまだ先になりそう。焦らず、少しずつ頑張ります」

■家族を結ぶ存在となったソルちゃん

ソルちゃんは、現在1歳になりました。家族に加わってから、家庭には温かさが一段と増したといいます。はじめは犬を迎えることに消極的だったご主人も、今ではすっかりソルちゃんに夢中です。

「子どもがもう1人増えたような感覚です。娘と夫の会話も増えましたし、息子にとっては妹であり、時にはライバル。喧嘩しながらも、とても仲良しです」

日々の生活の中心にはいつもソルちゃんがいます。つい先日、1歳の誕生日を迎え、家族でお祝いをしたそうです。

「不自由なことや大変なことももちろんあります。でも、ソルちゃんがいるだけで家族みんなの笑顔が増えました。理想の“わんこライフ”にはまだ遠いけれど、いつかは家族全員でドライブして、いろんな場所へ一緒に出かけるのが夢です」

（まいどなニュース特約・梨木 香奈）