【ボート】業界の至宝・高塚清一選手の旅立ち~皆の心の中で永遠に~

 25年2月、宮島ボート出場時の高塚清一さん
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 「ボートレース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」

 25年最初のSG・ボートレースクラシックは東京支部の佐藤隆太郎(30)がSG初優出で初優勝。舞台は福岡県の若松ボート。地元の塩田北斗と西山貴浩を2、3着に従え、栄光のVゴールを駆け抜けた。

 新時代のスターが誕生した翌3月31日。私の常駐先である宮島ボート場の景色が一変していた。ボート界の次なるステージは、4月22日から群馬県桐生ボートで開催される「プレミアムG1・マスターズチャンピオン」だ。45歳以上のベテランが集結する骨太の大会だ。宮島ボート場入り口にズラリと並んだのぼりのセンターには、2025年のボートレースCMキャラクターに新加入した俳優の笹野貴史。CMではベテランボートレーサー・ササノとして登場し、イメージカラーは5号艇の黄色。のぼりとポスターには、「経験は自信へ。自信は強さへ。」とつづられている。

 笑顔のササノと、ある人物がオーバーラップする。ササノのモデルとなった実在選手は高塚清一さん。2025年3月1日、77歳11カ月の現役選手のまま、天国へと駆け抜けて行かれた。あの日の高塚さんの言葉が耳によみがえる。「俺に会えなくなったら、ササノさんを見て思い出してよ」。私はこの言葉を伝えるために、あの日あの時があったと感じる。

 高塚選手は2月5日から開催された宮島ボートに出場した。気温0度の吹雪の中、さっそうと水面を駆け抜ける姿が目に焼き付いている。毎日取材する私に、「あんたも暇だねぇ。俺なんかに取材して」と高塚さん。そういえば大昔、「背がお高いですよねぇ」と見上げると、「小さくなって走ってみたいよ」と返された。真面目で寡黙なイメージだが、ウイットに富んだ気さくな人でもあった。元気の秘訣(ひけつ)もうかがった。「まず動くこと。毎日1万歩は歩くよ。それと、仕事終わりの酒。飲まずにやってられるか」というお言葉に激しく同感。「お酒は飲んでもいいんですね」と自分の都合のいいように勝手に解釈した。

 その後は2月23日から27日の多摩川ボートを完走。2着2回の成績を残された。現役最後のレースで“競演”した後藤正宗に高塚さんとの思い出を聞くと、「僕じゃない気がするなぁ」と高塚さんを尊敬してやまない多くの選手に配慮しながら語ってくれた。「僕たち後輩に対しても全く威圧感がなくて、誰に対しても同じように接する人。年が離れていても、一緒にレースに行くのが楽しかったですよ。多摩川の宿舎も同室。多摩川はエンジンが出てなかったけど、3月の浜名湖は(服部)幸男もいるしなって、次のレースのことを考えておられた」と最後の最後までレーサーだった高塚さんに思いをはせた。

 後藤は、「みんなもっと高塚さんと過ごしたかったし、話したかったと思う。だから、最後まで一緒に過ごせた僕はラッキー。高塚さんは最後まで自分の美学を貫き通した。他には誰もできない。たとえようのない人」と結んだ。高塚さんの最後から2番目のシリーズを取材できた私は、ラストランで競演した後藤と、この3月に宮島で会えたことに運命を感じた。2人とも、突然の喪失感よりも、共に過ごした時間が心に強く残っているのだ。

 語り尽くせないボート界の至宝・高塚清一選手。あなたは今も、皆の心の中に生き続けています。どうかこれからもボートレースを見守り続けてください。(ボートレース宮島担当・野白由貴子)

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