50グラム…計量失格のレスリング樋口黎「極限の状態で落ちなかった」五輪予選で悪夢
「レスリング・東京五輪アジア予選」(11日、アルマトイ)
男子フリースタイル57キロ級で、2大会連続の五輪を目指したリオデジャネイロ五輪銀メダルの樋口黎(25)=ミキハウス=が計量失格となった。日本協会によれば、当日の計量で250グラムオーバーとなり、規定の30分以内に落としたものの、あと50グラムが落ちなかったという。
樋口はリオ五輪以降、減量苦から一時は65キロ級に上げていたが、五輪切符を逃したため再び最軽量級に挑戦。19年全日本選手権を制して五輪アジア予選への出場権を獲得していた。
今大会に向けても最大の難敵が体重調整で、年明けからは好物の甘いものを断つなど徹底して調整していたが、悪夢が現実のものとなった。「食生活、運動量、カロリーなど全部気をつけてやってきた。全力で一切の妥協なくやってきたが、極限の状態で(最後の50グラムが)落ち切らなかった。現実を受け止めるしかない」と青白い顔で話し、日本協会の西口茂樹強化本部長は「こちらのサポート不足もあった。本当に申し訳ない」と話した。
今大会で上位2位以内に入って五輪出場枠を獲得すれば日本代表に内定となったが、マットに立つこともなく終わった。この階級の日本の出場枠獲得は5月の世界最終予選(ブルガリア・ソフィア)に持ち越されたが、日本協会が樋口を派遣するかは未定。樋口は「気持ちを切り替えて、もう一回り体を小さくしないといけない。あとは(最終予選への派遣を)祈って待つしかない」と声を絞り出した。