坂本花織 4連覇ならず涙「今までで一番悔しかった」 SP5位もレベル4連発で挽回2位「この悔しさはきっと必要な経験」
「フィギュアスケート・世界選手権」(28日、ボストン)
女子フリーは坂本花織(24)=シスメックス=は146・95点で、5位だったショートプログラム(SP)との合計で217・98点の2位となり、66年ぶりの4連覇はならなかった。千葉百音(木下アカデミー)は141・80点でSPと合計215・24点の3位。樋口若葉(ノエビア)は6位だった。今大会は来年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪の出場枠が懸かり、日本選手上位2人の順位合計が「13」以内となり、最大の3枠を獲得。アリサ・リュウ(米国)が優勝した。アイスダンス・リズムダンスの吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)は67・69点の22位でフリーに進めず、今大会での五輪枠獲得は逃した。
女王の座を守りきれず、悔し涙がこみ上げた。66年ぶり5人目の4連覇を目指した坂本は146・95点でフリー2位と健闘したが、SP首位のリュウに及ばず合計217・98点で銀メダル。「今までで一番悔しかった」と唇をかんだ。
SP5位からのスタート。会場を巻き込む熱演で一気に挽回した。冒頭のダブルアクセル(2回転半)から次々とジャンプを決めると、スピンやステップではリズムに乗って、最高のレベル4を連発。演技後は何度も拳を握り、氷上で飛び跳ねた。「自分のできることをやり切れた」と、総立ちの観客から降り注ぐ大拍手を全身で受け止めた。
優勝したリュウの演技前まで、坂本は暫定首位。樋口や千葉の演技に感涙していた。しかし「アリサ(リュウ)がパーフェクトな演技をして負けたと思った。うれしい気持ちの後に悔しすぎた」。新女王となったリュウには、真っ赤な目で「おめでとう」と伝えた。
ただ、背負い続けてきた重圧からは解放され「1回ゼロになれば、すっきりする」と笑顔も。「次はチャレンジャーの気持ちで挑める。この悔しさはきっと必要な経験だった」と坂本。1年後のミラノ・コルティナ五輪で集大成を魅せる。